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2004.07.10
onoseigenさんのサラウンド講座。
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先日行われたSpace Echo Deluxe vol.1に行ってきました。
フライヤーをみただけでは、内容がよくわかんなかったのですが、
SuperDeluxeに前から行きたかったので、まあいいかなあと(笑)。
行って大正解。
音好きをこんなに満足させてくれるイベントってそうないはず。
まずは、入口。
サラウンドなイベントですから、当然こんな風にセッティングされてます。
サラウンドを活用したライブがひとつ終わった後、
いきなり、それはいきなり始まりました。
ここに高校生はいますか?いませんね。みなさん、今渋谷の高校生がCDのことをなんて呼んでいるか知ってます?彼らはCDをマスターって呼んでいるんです。まあ、それだけ音楽を聴く状況が変わってきたってことですね。
もうバリバリ講義です。
音はコミュニケーション、つまり共有すると言うことです。
話は歴史的なところに進んでいきます。
・今は、PA(電気)があって当たり前だが、昔は基本的に生音であり、
ホールの大きさや造形が音楽の質を変えてきた。
・つまり、人と人の間には空気しかなかった。
ここから、話は音を環境として捉えることに移っていきました。
音が人間の感性に適合しているかの検証です。
ここまでの間、実はずーっと森の音が流れていました。
ここから、しばらく森の音を上げたり(以下↑)切ったりして(以下↓)、
話は進んでいきます。
・場を象徴する音(話のじゃまにならない音)
↑今、森の音、鳥の鳴き声が聞こえてますけど、ここで誰かに電話して、 電話じゃ伝わらないかな?ホントは電話でも伝わらないといけないんだけど、 今、どこにいるかわかる?って聞いたら、この場所だって答える人はまずいないでしょう。
じゃあ、ここで音を切ってみます。↓何が聞こえます? エアコンとかいろいろですね、つまり、これはモーター音なんです。 これが都会の音です。このモーター音というのは、単純なので16bit・PCMで再現できちゃいます。
↑こうすると、聞こえなくなりますね。これがマスキング効果です。 ある音を出してあげることで、ストレスのある音を下げることができるんです。
モーター音っていうのは、ストレスの元になるんです。これは僕は何度も実験しているんだけど、面接とか会議の時に、↓何も音を流さない状態と↑こんな風にマスキング効果を出しているときでは、話している人たちの緊張感がまるで違うんです。
で、もっと話したいけど、時間もないので、
知りたい人は、本を買って600ページ読んでくださいとのこと。
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さて、ここからSACDの視聴です。
※SACDとは、すごく端折って言うと96kHz・1bit・マルチチャンネルのこと(DSD)
5chというのは、だいぶスタンダードになってきた。そこで、5chという条件でなにかできないかというのが、私が挑戦しているところです。
これはライブ録音。
この場合、ボーカルマイクに加えて、アンビエンス音をボーカルのすぐ横に2本。
そして、もっと外側に2本立てています。
1曲聴いた後、seigenさんはこんなことを言いました。
みんな座り込んで聴いているけど、好き勝手に動いてみて。場所によって、聞こえる音が変わるから。その方が楽しいでしょ。
前にいけば、ホールの前で聴いているような音になるし、後ろにいけば、ホールの後ろで聴いているような音になるから。
ひと騒然したところで、マイキングの話になりました。
こんなセッティング(5本のマイクを一カ所に集中)で録音したり、
こんなマイク(ORTFステレオ方式)を使うそうです。
さて、視聴はまだ続きます。
Maria Mariaという最初にSACD・サラウンドで録音したもの。
(楽器の配置通りに録音した)
これはBlueNoteでのライブ録音。
これは花てまり。
みんな音の空間を楽しんでいました。
5chというのは、空間をそのまんま持ってこれるんです。1bitというのはCareer(※)として素晴らしい。
※=古いものも1bit化することで生まれ変わるという意味と取れる
seigenさんのカフェなどでの取り組みはここ。
そして、締め。
5chっていうのは、こんなことができるわけなんです。なので、きょう聴いた人は布教してください(笑)。
実は、5chの最大の敵は、奥さんと彼女なんです。「5本もスピーカーおけません」これをどうやって説得するか(笑)。みなさん、がんばってください。
オチがついたところで、お開きでした。
個人的には、サラウンドというのは「偽物を偽物として享受すること」だと思ってます。
そこに意味がある。その考えは、このイベント後でも変わりません。
seigenさんの言ったことで、私がいちばん残ったのはこれです。
電話じゃ伝わらないかな?ホントは電話でも伝わらないといけないんだけど
音のむずかしさはここにあります。
金をかけまくったハイファイな音が携帯電話から聞こえてくるまわりの雑踏に、
情報伝達度では、あっさり負けたりするんです。
どこまでもHz数を上げていき、原音に近づくことで、
このむずかしさは解消されるのか?
問題は、そういうことでもなかったりします。
グレン・グールドが生演奏を一切やめ、
演奏をレコーディングためにしか行いませんでしたが、
観客にとって、グールドの音(の質)が失われたわけではありません。
逆に、純化したとさえ言えます。
※ここでは、演奏における出来不出来(一回性)の問題は考慮しない
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最も劣悪な環境でも音が聞こえるのかを確認するため、
細野さんはレコーディングの最終チェックはカーステレオで行うそうです。
個人的な経験値から、語感の中で脳によるフィルタリングがいちばん高いのは、
耳だと思ってます。
だから、音はおもしろい。
実に刺激の多いイベントでした。
最後に音を使って、環境との関わりで遊んでみたい方、ご一報ください。
特に建築家のみなさまのご連絡をお待ちしております(笑)。
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投稿:by いしたにまさき 2004 07 10 02:27 AM [音楽建築!!【見たいもんBest】!!] | 固定リンク
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