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2005.07.08
列車砲があったからロケットがある
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今回ご紹介するのはドイツ軍とロシア軍で主に使用された、列車砲です。
リンク: 列車砲
うわー、すげー変な導入だなー、と思ったあなた。列車砲を侮ってはいけません。
宇宙産業たけなわな現在の基礎、その根底には列車砲というマイナー兵器があったからこそ、今のロケット技術があるのです。
そもそも列車砲とは、通常の車や道路などで運べない(重量や大きさなどから)ようなを巨大砲塔を敷設してある線路を使用することで、大質量の砲弾を敵の射程外から打ち込むことができるという、恐ろしい移動砲台です。
具体的に言うと、迫撃砲が口径80~120mm、自走砲が400~600mm程度なのに対し、列車砲は最大で800mmという大口径でした。
(ここから先はマニアックになりすぎなので省略)
列車砲の話としては、第一次大戦時(1918年のカイザー戦)、ドイツ軍の使用が有名です。
3月25日、突如としてパリに22発の巨大砲弾が降り注ぎます。
それは75km(120kmとも言われる)も離れたところからの列車砲(21cm K12 [E])による砲撃でした。死者16名と軽微であったと言われていますが、この遠距離砲撃はよほどの恐怖感があったのが、終戦と共に結ばれたヴェルサイユ条約では、潜水艦と共に列車砲の保有は禁止されてしまいます。
まあ航空機規正法やらなんやらがあったので、条約下でも開発は続けられるのですが、同時に「列車砲ではなく」かつ「飛行機ではない」兵器の開発にドイツは目を付けます。
それがロケットなのです。
やがてフォン・ブラウンが液体ロケットでV2ロケットを開発し、第2次大戦後にはアメリカでの宇宙ロケット開発へと続くのです(まあフォン・ブラウンは元々ドイツ宇宙旅行協会にも入っていたりするんですけどね)。
ともかく、列車砲が無かったら、現在の宇宙産業はなかったのです!ビバ!列車砲!!!
第2次大戦終了と共に、列車砲は壊されてしまうのですが、発想は形を変え、これまた宇宙産業に関わっています。それが、マスドライバーです。
マスドライバーとは
ロケットを打ち上げには非常にコストがかかります。そこで地上から第一宇宙速度までの加速をなんらかの方法で行い、加速をつけた後でロケットに着火してはどうだろうかというのがマスドライバーの概念です。これはほとんどの場合、ロケットを列車に載せ、徐々に角度をつけたレールの上で加速させるのが現実的であると考えられています。
これはまさに砲弾を巨大砲塔で発射するのと同じ発想です。発射される砲弾がロケットになり、砲弾自体が列車よろしくレールの上を走るといった、現代の列車砲にほかなりません!!!
姿形はちょっとだけ変わり、目的は平和利用となりながらも、列車砲は今でも現代に息づいているのでした。
※マスドライバー=列車砲説は鈴丸の脳内汁から漏れたものなので本気にしないでください。ただ単に列車砲でなんか書きたかっただけです。
ep3「大砲の街」が必見!
▼ドイツ超重列車砲 ドーラ (1/35スケールプラモデルキット)
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投稿:by いしたにまさき 2005 07 08 04:12 PM [魂(ハート)] | 固定リンク
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