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2005.12.15

ゲド戦記にかけた親との戦い




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ずいぶん前に海外でドラマ化されるとかで記事を書いたゲド戦記が、今度はアニメ化です。しかもスタジオジブリで。

リンク: asahi.com: ジブリの新作は「ゲド戦記」 宮崎駿さんの長男が監督?-?文化・芸能.

ジブリですから、もう他方で飛んでる話ですが、実はこの話題は9月くらい1度話はありました。

にゅーあきばどっとこむ NEWS050921 「本日の常習者サイト!:スタジオジブリ・宮崎駿監督の次回作はゲド戦記!?」

このときはどっかの編集さんが漏らした話で、監督は息子ではなく宮崎駿監督とのことでした。どう転んでも宮崎監督だからそれなりに落ち着くだろう、とは思ってたのですが、まさか息子さんになるとは。ちょっとびっくり。
更にビックリしたのは、なんとゲド戦記の3巻「さいはての島へ」を映画化するというではありませんか。これはちょっと驚くよりもショックが大きいです。

ゲド戦記は魔法使いの少年であったゲドが成長し、大賢人へとなる話です。
「影との戦い」で才能はあふれているが傲慢な少年がその傲慢さから失敗し、大きな挫折と師の教えによって過去の己を乗り越える。
「壊れた腕輪」では一人前の大人としての活躍。
そして「さいはての島」で、自分の師と同じ大賢人として、自らの生き方をもって青年を導く。
ゲドを描くには本来、「影との戦い」は絶対になければならない話だったりします。
その東洋観と西洋感を織り交ぜた独特でありながらも現代にも通じた世界観を理解し、ゲドが自分達と同じように失敗し、挫折する姿を見事に描いているのです。
アレがあるから大賢人になれるのに、あの葛藤を知っているから「さいはての島」でゲドが主人公らしく出来るのに、コレではスターウォーズでEP6を初めに流すようなもんですよ。

「ゲド戦記」監督日誌 - 第一回  『ゲド戦記』だからやろうと思った

「ゲド戦記」制作日誌 - これまでの「ゲド戦記」#more

そう思いながらも↑内部事情と言い訳みたいなものを読んでみると、うーんしかたないのかなあと思いました。
というのもハウル中に話が来て開始しているというではありませんか。

ハウルは宮崎駿監督の魔法使いの話です。
魔法使いは少年と言うか青年と言うか、まだ若いです。だが力はあり自分を持っています。協力者も理解者もいます。争いはあるが平和も望める世界にいます。

そして近年の魔法使い物といえばハリー・ポッター。
こちらは幼いがまっすぐで、障害はあれども将来は明らかに約束されています。

そうしてゲドの「影との戦い」を見てみると、

・自らの力を過信したために死の影を呼び出してしまう
・そのために師が命を落とす
・死の影に怯え、自分を見失う

……く、暗い!暗すぎる!!!
最後は影に立ち向かい、打ち勝ち、自分を取り戻すと共に人間を学びます。
ゲドの戦いの始まりは、自分との戦いという非常に大人なものなのです。
世界のためでも、仲間のためでもなく、自分のため。
死と自分というとてつもなくヘヴィな戦いから、2巻以降は人のため世界のためになっていきますが、確かにこれは子供向きではない映像になること間違いありません。

そして父の作品との対比も、絶対免れることの出来ない問題です。
あくまで子供に見せるジブリ作品である以上、わかりやすく、たのしく、そしてすげえ!という展開は外せないでしょう。

だとすると確かに「影との戦い」は不適切。
結果として描ける世界は大いなる智恵と力を持った師としての魔法使いと、導かれる次世代の青年と言う「さいはての島」になってしまったのでしょう。
同時に大いなる父とこれからの自分が重ね合わされているに違いありません。

その選択が間違いだとは言いません。
しかし、ゲド戦記本作が好きなのだったとしたら、やはり「影との戦い」を作って欲しかったと思います。
宮崎駿の息子ではなく、親子ですごい宮崎吾郎と呼ばれる作品に仕上げてもらいたいという願いを込めて結びとさせていただきます。

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投稿:by 2005 12 15 07:36 PM [ゲド戦記] | 固定リンク

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» 『ゲド戦記』映画化、納得インタビュー from あひるちゃんがゆく
以前に『ゲド戦記』映画化についてちらっと書きましたが。 父と子の確執?みたいな、気になってしょうがないという記事を書きましたが。 それを裏付けまくる物証があがりました。 続きを読む

受信: Dec 31, 2005, 2:47:30 AM

 
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