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2008.04.16

著作権という魔物、著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム公開シンポジウム6




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著作権保護期間延長問題を考えるフォーラムの公開トークイベント、シンポジウム「著作権には何が欠けているのか−創造の円環(サイクル)を廻しつづけるために」に参加してきました。

なんとなく、そろそろ著作権のことをしっかり考えておかないといけないなあと思っていたタイミングでイベントが実施されたのが、参加理由です。

 リンク: 著作権保護期間の延長問題を考えるフォーラム - thinkcopyright.org | フォーラムの公開シンポジウム | 公開トークイベント vol.6.

「壮大な社会実験」(福井健策)である著作権は、まさに「憂鬱の時代」(中山信弘)に入ったのかもしれません。

その中で、保護期間延長は果たして並んで検討されるべきアジェンダなのでしょうか。「創造のサイクル」を廻しつつ適正な利用をはかるという目的にとって、現在の著作権に欠けているものがあるとすれば、それは何なのでしょうか。

実際、もろもろの諸事情があり「保護期間延長」についての話はあまりなかったのですが、著作権のことを考え直そうと思っている私にとっては実りのあるイベントでした。

それにしても、著作権というのは聞けば聞くほど魔物ですね。まさに総論OK、各論はちょっと待て!という世界。このイベントで一時的にであっても結論なんか出るわけがないっす。無理っす。

ということで、今回2時間強の長丁場でしたが、個人的にはいちばん重要だったのは、山形さんが言ったことでした。

「議論というのは出尽くしていて、もう誰かこうだ!決めちまえ!って言う感じがしないでもない」

▼実際の山形さんのコメント

なお、公開トークの後で、会場からの質問タイムがあったのですが、時間切れで質問できませんでした。

「山形さんの言うように、だれがもしくはどこかが決めちまうのであれば、どこが、もしくは誰がいちばんましだろうか?」と質問して、簡潔なコメントがいただきたかったです(どうも文化庁では議論が出ただけで終わってしまったみたいですし)。

ということで、以下は今回のイベント【著作権保護期間延長問題を考えるフォーラム 公開トークイベント vol.6、シンポジウム「著作権には何が欠けているのか -創造の円環(サイクル)を廻しつづけるために」】の私的メモです。

---ここから

モデレーター:福井さん
野口祐子(野)
竹熊健太郎(竹)
田村善之(田)
山形浩生(山)

モデ)
知財推進本部でも使われているワード「創造の円環(サイクル)」。
延長なのか?延長でないのか?
著作権の在り方を巡っての議論、フェアユースなどなど
文化庁次世代ネットワークをめぐる著作権の報告書(自由利用マーク付き)
延長問題の結論を出す時期にきている

▼竹熊さんプレゼン10分
-手塚問題
メトロポリスにねずみの怪物が出ている(白目のついたミッキーマウス)
ライオンキング問題は、くすぶっているが、メトロポリスでこれやってるんだから、手塚プロはなんも言えないよね
著作権の認識もいい加減だった
それとは別に作品の価値というのはある、出せなくなるのはまずいよね
-末次由紀問題
スラムダンクの盗作があった、ネットでさわぎになった『末次由紀氏、盗用(盗作)検証
「エデンの花」を打ち切り、実はパクリまくっていた
マンガ家生命を絶たれる処分となってしまった(講談社が過去の作品20点も絶版、受けた処分として破格に厳しい)
ただこういう構図とか、絵のトレースはマンガの歴史ではざらにある。
じゃあ、この人がダメなら、あの人はどうだ。
スラムダンクもどっかからパクってないか?
で、実際パクっていた(http://www.yuko2ch.net/inoue/
-劇画系には元の写真があることがほとんどです
こういうことはある、ほめられたことじゃないけどね
劇画の大御所でも実際にある
どれがいいか悪いかのライン引きはむずかしい
ただ、トレースがあったとしても、作品全体の評価を下げることになってはいけないなと。
-マンガ界としては、とにかくうやむやにする、ということになっている
実際、まったく民事でも裁判にならない、写真家が訴えるケースはある、これは3年に1回はあるけど、裁判にまでいったケースは知る限りない
ということで、そのままうやむやでいってほしい
-法律とは別のところで出版界は動いている
現場は著作権法読んでませんよ
転載と引用の区別もついてない
裁判だけは避けたいというのが出版社
-最近は資料写真は自分で撮るということになっている、佐々木倫子さんは風景を全部写真で撮っている、でもさ南極とか月面とかはどうするんだ?
-しゃべりすぎました!

▼野口さんプレゼン20分
-平成18年度、次世代ネットワーク社会における著作権制度のあり方についての調査研究会、報告書
Webに出ている(まだ発見できてません)
議論をしていくとある段階までは意見が一致する
ある段階で一致がつかない
そのラインはどこなのか?
著作が分業的になってきた(集合知なども含む)
キーワードは取引コスト、許諾を取りましょう、しかしそのコストは?
許諾を得るためのほかの対価のコストが高すぎるのではないか?
量的変化は質的変化を生むか?
個人利用はどうするの?
取引コストを下げるための方策、データベース作りましょう、コストはどうするの?
許諾を取りやすくする制度、JASRAC方式、CC方式
任意でだめなら、強制許諾にしましょうとかになる
これらをどうするか?
今は維持をして改善していくのか、なにか社会的に促進させる方向にするのか?
結論が出ない
著作権法はアイデアを保護しない、表現を保護する
お互いに使い合う文化の方がお互いに禁止しあう文化よりも豊かではないのか?

▼田村さんプレゼン10分
原理的な話をつらつらと
なぜ著作権は保護しなければならないのか?
自然権論と功利主義(インセンティヴ論)
自然権1、ジョン・ロック、労働所有理論
知的財産権は他人の身体活動の自由と抵触するので当然に権利とはいえないだろう
自然権2、自己の人格実現したもの、ヘーゲル
知的財産権は自己の人格の発展のうえで不可欠とはいえず、逆に他人の人格の発展と抵触するので、当然に権利とはいえないだろう
権利者の権利だけでは運用できないだろう、フリー・ライドをある程度規制しないと創作意欲が過度に減退する・・・
ただし、実際の制度を導入したとしても検証はほぼ不可能、結局政治的?
-政策形成過程には組織化されやすい利益は反映されやすいが、
組織化されにくい理恵胃は反映されにくい
しかも、知的財産権の場合には有体物の利用という歯止めがないので、知的財産権は無限定に拡大しうる
そこで、司法による権利の制限に期待
政策形成過程のガヴァナンス構造を変化させるといいのでは?
第一の波
印刷技術の普及、16世紀
コピーライトは事実上競業を規制する権利に止まる(複製するにはかなりの投資が必要だった)
第二の波
複製技術の普及、20世紀半ば
複製技術が私人にも普及、監視が困難
第三の波
インターネットの普及、20世紀末
公衆送信までもが私人に普及
個人の献身に支えられる・・・

▼山形さんは自分の意見よりも、他の人の意見を刺す方が楽しいからプレゼンなし

▼公開トーク
○現在の著作権法をどう評価するのか?
山:まあまあかなともダメかなとも思う。20年前に著作権法はなくなるだろうと言われた。著作権に頼らなくても儲けるという話もあった。議論は出尽くしていて、あとは誰かが「これ!」って言うか言わないか、なのではないか?とこの30分で考えが変わった。
田:著作権の条文と世間の著作権の認識は一致しているのだろうか?フェアユースの条文がない、企業内複製も著作権法上ではなし、ということで、ホントの意味での条文通りの運用ではとても賛成できない、みなの思っている範囲の運用なら今の著作権法には賛成。
○グレー領域(ルールは違法だが現場ではやっている)はあった方がいいか?
竹:ほっといてもできるので、しょーがない。現場と法律の齟齬というのは実感する。現場は法律では動いていない。慣習でみんな動いている。いい加減なところで救われているところもある。本が出てから契約書を交わしている、そんなもんですよ。でも、契約書を交わすと縛られるので、〆切とかね・・・。
野:現場で考えると、検索エンジンは違法なのか?ということになる。裁判沙汰にするリスクもある。でも、法律と運用がずれているのは問題ある。CCでも問題がある部分はある。「なんで白黒つけないといけないの?」。ただ、グレーのままでは危ない部分もあるので、どうでもいいものは明確に白にする努力はすべきではないか?
田:グレーをブラックすることにならないとすると、物理的制約があるので、いちいち立法になるのは大変なのでグレーのままでいい。でも、ネットだとグレーのままではなく、ホワイトにする方がいいのだろう。
山:もう1個のグレー。新しいものが出てくるときには、グレーの状態で出てくる(グレー=想定しない利用)。山形の文章を自動生成するジェネレーターがすでにある。初音ミクとかどうするの?山形の文章を山形の声で、山形がいないのに実現することは可能。こうやってどんどん移行していくので、どんどんうやむやになっていくのではないのかなあ。
○フェアユースの話
田:導入すべき。
竹:日本ではフェアユースはないんだよね。人格権と財産権が現場ではごっちゃになっている。森進一のおふくろさんでは人格権で動いている。でも、JASRACは人格権には関与しないんだけど・・・。JASRACのいいところは、金で全部解決できる、ここは唯一いいところ。でも、感情論になっちゃうと困るよね、サザエさんとかね。マンガ評論とかやると、著者によってはゲラ見せろとかってことになっちゃう。著作権もこうしちゃうといいのかな?と思う。
野:今の例外規定にフェアユースをつけるのがいいと思う。アメリカではどうなっているかというと、先例があったとしても裁判官の良心にかかってしまう。弁護士的に見ると、先が見えない規定として運用されてしまっている。
竹:フェアユースは具体的にはどういう条文になるんですか?
野:規定が4つ。経済的な利益について、の部分が(未来のことを考慮して)拡大解釈されてしまっている。新しいサービスが出たときに裁判官頼みになってしまう。MP3のときには、フェアユースでいけるって話だったのに・・・。でも、グレーが白になるのであれば、フェアユースは導入した方がいいのではないか?

○パロディ、二次利用の話
竹:規制のマンガを使って、別の作品を作るという流れにコミケはなっている、そこからプロも生まれている。商業誌もコミケのことはわかっているし、数が多すぎて取り締まれない。でも、「ピカチュウ同人誌」事件が起きた。任天堂からの話で京都府警が逮捕した。小学館は動かなかった。出版社はそういう裁判を避ける。今となっても、まだ釈然としない状況が続いている。
山:パロディは認めて欲しい。不思議の国のアリスでパロディの歌が多くあるが、その歌はパロディの形でしか残っていない。黒になるのは怖いので、グレーのままで運用したいなあ。
竹:パロディが多くあるのは、ダメだとは言い切れない。初音ミク問題「うちの初音ミクはJASRAC登録なんかしません!」。企業の意識も変わってきた。
○二次創作で市場は機能するの?
田:批評というものを重視しており、社会的な利益と個人的な利益が食い違う場合があるので、パロディには穴を空けようというのがアメリカ(プリティウーマンの判決など)。
竹:下の世代は原作者に叱られたら、愛が作者に通じてないから謝る、と言っている。上の世代にはパロディというのは、批評であるという常識があった。

 中略

竹:創造の話をするときに(創造というのはすべからく何かの引用をベースにしているという話)、いつもする話なんだけど、映画の2001年宇宙の旅で、キューブリックが見た事もない生物として宇宙人のデザインをデザイナーに発注したのだけど、どのデザイナーもちっともデザインできなくて、けっきょくモノリスという長方形になった。キューブリックとしては、宇宙人の視覚化はあきらめ「想像もできないものは想像できないことがわかった」のだそうです。

---ここまで

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投稿:by 2008 04 16 02:41 PM [ネット全般] | 固定リンク

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