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2009.02.17

深町秋生『果てしなき渇き』、処女作がこんなうまいなんてもはやひどい




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深町秋生先生には、以前の夜トコ00のイベントでお会いして以来というもの、とりあえず全著作を大人買いして、読み始めるタイミングを狙っていました。

ええ、すいません。特に理由はないのですが、深町秋生作品読んでいなかったんです。最近小説を読むことが減っているのは事実ですが、理由ないとか書いている場合か、おれ。

要するに、きのう読み終わって、今まで読んでいなかったことをホント反省しました。

そう!『果てしなき渇き』は超絶に面白い。

R0019779.JPG by you.

帯やアマゾンのレビューなどをちらっとみたのですが、そこに書かれているのはドライブ感とかバイオレンスと言った言葉。

どうしても、だれも深町秋生はうまい!と言わないのか?

まず、最初に言うべきことはそれだろ。

そうでなきゃ、このどこまでも救いがない物語の読後感が「生きることの清々しさ」というものになるわけがないのだ。

でだ。深町秋生のうまさというのは何も文章力のことだけじゃない。

もちろん、1つの物語に対して、違う時間進行であたかも2つの物語が進行しているような小説の構造のことでもない。

1つの物語の中で、もうひとつの時間が流れていることを表現するときには、まずファーストシーケンスで、そのことを一瞬ですべて見ているものに理解させないといけない。

それは、ちょうど黒澤明の『生きる』がそうであるように、この『果てしなき渇き』の読者から見た場合の違う時間のファーストコンタクトは小便ちびるほどうまい。うまいうますぎる。これでもう一気にこの世界にひきずりこまれてしまった。

その延長で考えると、エピローグを謎解きと考えるのはお門違いだと思うし、レビューなどで書かれているように、最後の救いと考えるのも違うと思う。

そのことをまた別の言葉で言うと、深町秋生の作家性というのは、とどのつまり「集中と選択」、そしてその集中したものに対するストイックさ。これに尽きると思います。

『果てしなき渇き』では、喪失よりも不在の方が遥かに人にとってどうしよもないダメージとなることだけを描くことに集中したのではないかと思います。

R0019778.JPG by you.

さて!

実はここの何ヶ月かの私はひとつの疑問にぶち当たって、正直困惑していました。それはどういう疑問かというと「なぜジェノサイドをやられた民族がジェノサイドをすることができるのか?」ということです。

そして、その答えはこの『果てしなき渇き』の中にありました。

それはヒロインである女子高生の、この物語でもっともキーになる出来事に対する当事者である彼女自身の受け止めを表現する下記のセリフに見事に集約されていました。

「あいつはいってたよ。禁忌にさらされた人間に、禁忌はない。怖れもなければ。憐れみもない」

ここだけを抜き出しても、きっとこのセリフの意味というのはもちろん理解されないとは思います。そして、またその理解されないであろうぶりが、そのままこの小説の力を証明していると言ってもいいと思います。

ということで、『東京デッドクルージング 』をきょうから読み始めました。絶勝、絶勝、大絶勝。

果てしなき渇き (宝島社文庫)
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ヒステリック・サバイバー
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東京デッドクルージング
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投稿:by 2009 02 17 12:16 AM [書評] | 固定リンク

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