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2009.02.12
Google Japan、マーケティングと倫理観の憂鬱
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今、絶賛話題沸騰中のGoogle JapanによるブログPayPerPostの件ですが、 話題のネタなので、やはりここはのっかっておこうと思います。
いかに急速に話題になっているかということについては、以下のグラフで確認できるかと思います。ここ90日のデータです。
リンク: テクノラティ: ブログで語られた「PayPerPost」に関するグラフ.
まず、この件について「なに?それ?Google Japanなんかやったの?」という人は以下のリンクで、この件についての顛末をごらんください。
リンク: [を] Google がブロガーにお金を払って広告記事を書かかせていたが実はそれは Google のポリシーに反する.
単なるメモです。他意はありません。
話を要約すると、Googleが自社でポリシーとして掲げているやってはいけないことを、その日本法人であるGoogle Japanがやってしまっていたことがバレて、たぶん誰かが誰かにすげえ怒られて、すぐにごめんなさいしました、ということなんだと認識しています。
ただ、今回Google JapanがPayPerPost(PPP)を使ったことが問題になっている件というのは、ネットにどっぷり浸かっている人でないと、ちょっと理解できないかもしれません。
ということで、識者の協力を得て、今回の件を他のことで例にしてみました。途中から脱線気味になっていますが、冗談半分でご覧下さい。
- 警察が飲酒運転
- JAROが過剰広告
- 消防士が放火
- 検察官が自転車泥棒
- 「Winnyを使うな」と広報している団体でWinny利用
- ブログを作って売ってる会社の社長のブログがしばらく更新されていない
- パティシエなのに甘いものが苦手
- たかの友梨ビューティークリニックなのに、たかの友梨は痩せていない
- Google社員なのに、弁当持参
- Google社員なのにホームページがヤフー
- Baidu社員なのにホームページがGoogle
- MS社員なのにホームページがGoogle
- Ask.jp社員なのにホームページがGoogle
- ゲイツ夫人の愛機はマック
- Apple社員なのに、Zune大好き
- チェーンメールは決して回さないでください。このメールを出来るだけ友人に転送してください
- ピザ・チェーン大手創業者、「ピザの食べ過ぎはダメ」と発言
- オーガニック野菜だと思ってたら農薬汚染野菜だった
で、冗談はこの辺にして。
その肝心のPayPerPostについては、過去に自分でも書いてますし、この議論は過去に一回りしていることでもあるのですが、基本スタンスは変わっていません。
リンク: ブログに金を払ってエントリー書かせたほうが結局マーケティング的効果は薄いのではないか?.
つ まり、ブロガーにエントリーを金を払って書かせるという行為は、本来違うロジックで動いているものを無理やりブログに押し込めるような形になっているとい うことです。そして、今ブログに注目している広告主にとって有効な文章は1:nな関係の上にある文章ではなくn:nな関係の上にある文章なのです。だっ て、1:nはそれこそ今まで企業が広告媒体を使ってさんざんやってきていることですからね。
リンク: Modern Syntax : バイラルマーケティングには可視化とリスペクトが必要だ.
お金出すにしても、記事にお金を払うのではなくブロガーに支払う、ということが本質的に理解できてないとうまくいかないわけで、そういう経験をもっと積まないとだめなんだろうなあ。
要するに、PayPerPostを使った方が無駄なお金もかかるし、マーケティング効果は薄い結果になるんじゃないかということです。つまり倫理的な問題じゃないんじゃないかということです。
これについては、ネタフルでもこの件に関して、こんなコメントを残しており、まったくもって同感です。
リンク: [N] Google、ブログを活用したマーケティング活動について謝罪.
Googleの場合、そんなに心配しなくても新しいサービスはブログなどのソーシャルメディアを通じて自然に広まっていくんじゃないかなぁ、とも思いますしね。
ただ、Googleとはいえ、自然に広まっていくのに時間がかかるし、ちゃんとネットを見ていないとその広がりを実感として理解するのは、けっこう難しいものです。
で、今回の一件はそういう自然な広がりの実感を持っていないGoogle Japanの社員が増えてしまっているのではないかなあと懸念してしまったりします。
だから、今回はGoogleがevilなことをやったんじゃなくて、Google Japanが無能なわけでもなくて、Google Japanが無知だったわけでもないと思います。
そうではなく、Google Japanにネットが好きじゃない人がずいぶん増えたんだなあということをある一部のネットに広めたということでいいのではないかと思います。
ただ、フォローするわけじゃないですが、Google Japanがこういうことばかりしているわけではないんですね。
例えば、Google Chromeのバイラルビデオというのは、日本で制作されたのですが、これはかなり海外も巻き込んで話題になっています。
▼Google Chrome シンプルという進化 [HD]、再生回数: 563,984!!
再生回数だけではなく、ちゃんとWebにも出てます。
リンク: Digg - Googles Cute Initiative To Launch Chrome In Japan.
リンク: Software: Google Japan's Chrome Design Animation.
で、最後に。
さっきPayPerPostは倫理の問題じゃないとは書いたのですが、サービス提供側としては倫理を持っていないといけないんじゃないか?とも思います。
ちょっと話が飛びますが、文字を読む人が増えて活版印刷が発明されたのではなく、活版印刷が発明されて文字を読む人が増えたということを考えると、なんだかんだで人はハードウェアに縛られています。
Googleの場合はハードウェアじゃなくて、ソフトウェアではあるんだけど、実質ネット環境そのものを提供する存在になってきていることを考えると、実質活版印刷の発明並(Google重力圏)のことをしていると思います。
となると、提供側は倫理的に振る舞っておかないと結局は自分たちの首を絞めることになるんだと思ってます。
【追記】
今回の早々でGoogle JapanのトップページのPageRankが9から5に格下げされたそうです。
リンク: 秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ: Google Japanのトップページのページランクが9から5に.
http://google.co.jp/のページランクは9ではなく5になった。これは当面の間続くだろう
USのグーグルからすれば、これぐらいの措置は必要ということなんでしょうね。
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投稿:by いしたにまさき 2009 02 12 01:57 AM [ネットマーケティング] | 固定リンク
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一昨日の記事では書き足りない気がしたので追記してみる。 そもそも今回のGoogleのペイパーポスト問題への様々な言及を見るに、せっかくなので乗っかってもうすこし明確なことを残しておきたい。 こんな辺境のブログだけど、少しでも声を上げておこうと思う。 一昨日の記事..... 続きを読む
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