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2009.05.12

なぜtumblrはtwitterに食われなかったのか?




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ここ数ヶ月でネットのある趨勢がtwitterで決まってしまったことを簡潔に表現していている記事がありました。まさにこの通りです。

 リンク: 結局全部Twitterに食われちゃったんだよね - Yet another my Posterous blog.

例えばフィードアグリゲータ。いろいろなフィードを集めて一カ所に集めるとか一時期流行ったけど、今は全部 Twitterfeed 使って Twitter に流してる。フィードを集約するプロフィール系のサービスもいらなくなったね。

例えばコメントシステム。 Discus とか TypePad Connect とかでてきたけど、今はコメントはTwitterへ、というのが主流。 Posterous なんかだと自前のコメントシステムがTwitter にコメント通知してくれるもんね。

写真共有なんかも変わったね。本格的な作品展示みたいなのは別にして、携帯カメラで気軽に撮って気軽に送信するようなのは Twitter と連動してないと使い物にならない気がしてきた。初期の頃のは写真を投稿したら Twitter にリンクを送信するだけだったけど、新世代のはコメント通知も Twitter だし、 Twitter の友人関係を反映してくれるのもある。

twitterがこれだけユーザー数を増やしている背景には、日本人にはなかなか感覚的に理解しにくい、欧米人のステイタス表示にかける熱意というものがあると個人的には思っています。

ただ、これだけのメジャー感を獲得しているのは、外やユーザーをうまく巻き込んだ結果だし、やはり文字数が制限されていたことが開発者のクリエイティビティを刺激したのではないかと思っています。ご多分に漏れず、tumblrもtwitterに対応していますね。

さて、こんな具合に他のWebサービスが次々にtwitterに食われていく中、tumblrはそのユーザーもサービスも、その流れとは一線置いて、食われずに着実に成長しているように思えます。

では、なぜtumblrはtwitterに食われなかったのでしょうか?

それは、例えばオフでの会話などでこういう会話はされていないでしょうか?

【twitterの場合】

  • きのうのあのニュース、事件面白かったね。

【tumblrの場合】

  • 最近、あの人面白いよね

なにが言いたいのかというと、twitterとtumblrというのは人とコンテンツを結びつけるというWebサービスでありながら、表裏一体の鏡みたいな存在なんじゃないかということです。

表現を変えてみます。

  • twitterは人を通じてコンテンツの今を共有する
  • tumblrはコンテンツを通じて人の感性を共有する

そう考えて見ると、tumblrのtwitter対応というのは、twitterの方がユーザーが質量ともに幅広いのを理解した上で設計されており、ある意味とても狡猾です。

  • twitterのタイムラインをtumblrのdashboardに読み込む
  • tumblrの更新をtwitterに通知(オン、オフ可能)
  • tumblrのあるポストだけをtwitterに通知可能
  • twitterのポストをtumblrにポスト(Re-blog)可能

つまり、twitterに流し込むこともしているし、twitterからログを取ってくることもどっちもオンオフ自在に組み込んでいるわけです。

他のサービスがtwitterに流す込み、そのトラフィックに頼るような取り組みが多い中、このtumblrの一見相反するものを両立させるいう姿勢はこんなインタビューなんかにも現れています。

Tumblrint

 リンク: Would You Take a Tumblr With This Man? | The New York Observer の全文和訳.

Tumblr は両立を目指している。ユーザーにインターネットの喧噪の中を、突っ切る別の方法を提供すること (「Digg だと、ちゃんとしたリンクひとつひとつに、つまんないリンクが山ほどあって、馬鹿馬鹿しいボタンを意味なくクリックしなきゃいけないんだ」と Karp はいう)と、Facebook やら MySpace やら他のSNSやブログサイトではうまくできない、ユーザのアイデンティティをユーザ自身が作り出す方法を提供し、ユーザがウェブで表現することを可能に することの、両方を実現すること。ユーザーはデザインされたテンプレート数種類から選ぶこともできるし、自分ですべてデザインすることもできる。出身大学 はどことか言った質問フィールドはないし、実のところ名前さえも必要がない。そして他のブログソフトよりも、使うのは格段に簡単だ。(更に Tumblr のブログは、Tumblr のアカウントを持たない人でも見ることができる)

Tumblr は成長を続けているが、ユーザー数でいうと、7,000万人の MySpace や、6,100人の Facebookは、いうに及ばず、300万人から400万人といわれている Wordpress にすら及ばないが、Karp はそれは構わないといっている。他のネットワーキングサイトやブログ・プラットフォームについての彼との議論に、見え隠れしているのは、あまりにも早く大きくなり過ぎたものは、その過程で何かを見失っているのではないかという主張だ。Tumblr では、その成長の過程で、ユーザーのサイトに対する所有の感覚を損なうことなく、前向きに変化させていくことが試みられている。それは優先順位の問題だ。

では、こういったtumblrの姿勢というのは、どこから来ているのかというと、例えばtumblogという言葉はtumblrが生み出したものじゃないということなんかにもうかがえます。

 リンク: Would You Take a Tumblr With This Man? | The New York Observer の全文和訳 - いいことあるかい.

Karp が19才になった頃、新しい言葉が辞書に登場した。それは「tumbleblog」ごく短い文章のブログを指す。(通常のブログと違うところといえば、例えば tumbleblog の記事が、1センテンス以上になることは、多くない)この新しいブログの形式に魅了された Karp は、どこか既存のブログ会社が、tumbleblog 向けのプラットーフォームをリリースしてくれるのを「待ち続けていた」のだと言う。一年が過ぎたが、そんなものが出てくる様子はなかったので、Karp は自分で作ろうと決心した。(生まれ変わった現在の Tumblr は 11月1日にリリースされたが、それに数ヶ月先立ってβバージョンがリリースされていた)

これは特に日本では誤解されているようで、日米のWikipediaでも記述が異なっています。

 リンク: Tumblelog - Wikipedia, the free encyclopedia.

The term tumblelog was coined by why the lucky stiff in a blog post on April 12, 2005, while describing Christian Neukirchen's Anarchaia.

 リンク: Tumblelog - Wikipedia.

Tumblelog/Tumblr(タンブルログ/タンブラー)は、メディアミックスウェブログサービス。米国 Davidville.incにより2007年3月1日にサービスが開始された。

新しいものを作ったのではなく、既にあった考えに沿ったものを、自分なりに提供したということなんですね。

ということで、もう1度整理してみると!

【なぜtumblrはtwitterに食われなかったのか?】

  • そもそものシステムとして優先していることの種類が違う
  • ユーザー数の獲得に注力していない
  • 変化に対して柔軟である
  • たぶんtwitterよりもtumblrの方がシステムとして懐が深い
  • ハードユーザーを既に獲得している

かなり大雑把ですが、tumblrとtwitterというのは対抗するサービスでもないし、相手にしている分野も近いようで遠いということを理解してもらえれば、よりうまく共存共栄できるんじゃないかと思います。

Twitter!―Twitter APIガイドブック
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投稿:by 2009 05 12 03:31 PM [tumblrtwitter,ツイッター] | 固定リンク

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