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2009.08.11

この夏『サマーウォーズ』という映画に会えたという幸運と必然




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サマーウォーズすごかった。

これほどの密度とこれほどの全開フルスロットルぶりの映画なんて、過去に何度見たことがあるだろうか?

R0021314.JPG by you.

私は映画はポップコーンとコーラをお供に見る方なのですが、ポップコーンは予告編までに食べ尽くしてしまったせいもありますが、気づけばスタッフロールが流れるまで、コーラを手に取ることはありませんでした。それほど、この映画の映像と音楽と演出とストーリーに無我夢中だったわけです。

そう!つまり、これほどの密度とこれほどの全開フルスロットルでありながら、映画として破綻してないから、観客の時間をここまで虜にすることができるわけです。

映画を見ながら、いろんなことを考えていました。サマーウォーズはアニメです。近未来を描いています。現実と仮想空間の話でもあります。

となると、当然こういった映画が頭をよぎります。

  • マトリックス
  • 映画パトレイバー1

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  • 攻殻機動隊
  • 攻殻機動隊SAC
  • エヴァンゲリオン
  • クレヨンしんちゃん「戦国大合戦」

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スタッフロールが終わったときに、まず思ったのは、細田監督はきっと上記の作品、いずれにもどこか映画監督として納得がいかない部分があったんじゃないかということでした。

で、その納得いかない部分を消化するためには、映画監督はその納得のいかない部分をひとつの作品として観客に見せるしかないわけです。

で、そんな細田監督のところに千載一遇のチャンスが回ってきたわけです。

映画監督というのは因果な商売で、売れるかどうかわからないものを決められた予算で作らないといけないわけです。

もちろん、ヒット作のない監督に予算がつくことなんかないし、ヒット作を持っている監督でも、一度外すとそれはもう大変なことになるわけです。

だから、期待されていない中で予想外のヒット作となった「時をかける少女」を作った後というのは、これはもう千載一遇のチャンスなんです。

時をかける少女 [Blu-ray]
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そして、今年を実に捉えているなあと思ったのが、現実とネット世界を対比、対立構造という形で捉えていないことです。

 リンク: 404 Blog Not Found:Epoch is made - エポック・メイキング - 映画評 - サマーウォーズ.

栄ばあちゃんの黒電話や主人公ケンジの紙も大活躍したが、カズマのアバターやSX-9だって大活躍したのだ。リアルかネットではない。アナログかデジタルではない。そして大家族と個人でもない。リアルもネットもであり、アナログもデジタルもであり、そして大家族も個人も、なのである。本作は弁償主義的な映画でもあった。

たぶん、今OZにもっとも近いのはtwitter。それはもう数々の世界中の事例が証明しているわけです。

先日起きた(政府陰謀説もあり)サーバダウンなんて、まさにある意味サマーウォーズそのもの。

 リンク: ソーシャルサービスが一斉にダウン:TwitterとFacebookがDoS攻撃で一時ダウン、マルウェア攻撃も復活 - ITmedia エンタープライズ.

 リンク: 「Twitter」や「Facebook」へのDoS攻撃の標的はたった1人のロシア人活動家 : CNETニュース : ニュース : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

さて!

サマーウォーズ、何しろ「Summer Wars」などというタイトルの映画なわけです。

そりゃ「STAR WARS」を意識していないわけがありません。海外を意識していたとは思えない「時かけ」ですら、NYで上映されたのですからね。

「STAR WARS」を映画として考えると、2つのテーマが当然出てきます。

  • ジュブナイル
  • 継承

そう考える、やはり主人公はヒロインなわけです。つまり、ばあちゃんがオビワンで夏希がルーク(もしくベイダー)です。

また、同時進行で違う軸の話が動き続けて、1点に向かって集約していくのは、まさにスターウォーズのEP4-NewHope(ホントの第1作)の手法そのもの。

これはオマージュと考えるべきでしょう。しかも、ちゃんと終了ポイントが1点に集約されているのは、お見事というしかありません。

スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望 リミテッド・エディション [DVD]
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また、オマージュという意味では、黒澤映画へのオマージュでもあり、これほど見事に「生きる」をオマージュした映画を見ることができるとは思いませんでした。

生きる [DVD]
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さて、この映画を見ると、同じように過去の作品への言及は避けられないようで、ここまで書いてきたようなことと全く同じようなことを違う過去の作品への言及をしている人もいます。

 リンク: 裏[4k]:サマーウォーズ - livedoor Blog(ブログ).

ポップ文化というのは、必ず先人たちの作品に含まれたさまざまな魅力要素の上に立脚して創作されるもの。

主人公たちが世界中の人を味方につけたように、さまざまな過去の作家・作品を「味方につけた」ところにこの映画の大きな魅力がある。

ということで、みなさんぜひ劇場へ。きっと1度見れば、その余韻をDVD発売まで味わうことができるでしょう。ホント素敵ないい作品です。

ということで、もう次回作が楽しみなのですが、細田監督はこれでヒットを期待と約束される監督になってしまいました。それはそれで、つらい立場になったわけです。でも、これは余計なお世話というものですね。

※以下のリンクネタバレあり

 リンク: 映画「サマーウォーズ」は何故「夏の戦争」なのだろう ([の] のまのしわざ).

その意味で、夏に公開し、戦争をテーマに選んだ「サマーウォーズ」は色々な意味で戦略的だと思いました。つまり細田監督スゲーってことです。

このエントリーを読んでいて、のまさんの指摘する「夏」という設定への見事さは、やはり『八月の狂詩曲』を意識したものだと思います。

八月の狂詩曲(ラプソディー) [DVD]
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そして、『八月の狂詩曲』がそうであるように、やはり何らかの形で「ばあちゃん」に思い入れのある人にとっては、さらに思うことの多い映画だということですね。

私のばあちゃんも会社の金庫を預かっていた毅然とした人で、一足先にじいちゃんが死んだとき「年寄りの仕事は若いものに死ぬところを見せるところだ」と言っていたことを思い出しました。

ええ、『サマーウォーズ』ホントすごいと思います。細田監督ホントすごい。そして、ホント映画っていいなあ。

サマーウォーズ 公式ガイドブック  SUMMER DAYS MEMORY
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サマーウォーズ 絵コンテ 細田守 (ANIMESTYLE ARCHIVE)
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サマーウォーズ完全設定資料集 絆
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【追記リンク】

映画をもう見た人にはこのエントリーも必見。

 リンク: 【A面】犬にかぶらせろ!: 『サマーウォーズ』感想、ヱヴァ新劇場版:破との共通点とか.

いろんなものを過剰に背負っていておもしろい。

これはホントに同感。で、ここに至る前段がさらに面白いです。

【関連リンク】

 リンク: 映画「サマーウォーズ」対談(上) 細田守監督×村上隆氏 : 話題 : 映画 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

村上 『サマーウォーズ』は細田さんの集大成ですよね。僕が『デジモンアドベンチャー』を見て感じていた世界観の広がりも、この10年くらいの間の成長も、現代におけるリアリティーも全部詰め込まれている。観客はどういう人たちだと考えて作られたのかな。

リンク: 映画「サマーウォーズ」対談(下) 細田守監督×村上隆氏 : 話題 : 映画 : エンタメ : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

細田 作り手としては、常に作り続ける活力を維持していきたい。そのためには様々な作品が作られ、その中からいいものが世界へ出ていく環境も必要だし、大衆文化を世界の芸術史にねじこんでいくような力も必要。マーケットが大事か歴史が大事かはさておき、文化として考えるべきだということは強く思います。

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投稿:by 2009 08 11 11:47 AM [映画・テレビ] | 固定リンク

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