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2010.02.04
「日々の音色」のビデオはパクリ問題よりも、その手法の拡大を目指して欲しい
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YouTubeで公開されてから、そのすばらしさで絶賛と受賞の続いている「日々の音色」が、優れた作品の洗礼とも言うべき、パクリ問題に出くわしています。
リンク: Twitter / akiko_saito: ペプシの社会貢献プロジェクトCMが「日々の音色」の完 ....
ペプシの社会貢献プロジェクトCMが「日々の音色」の完全パクリなのは正気なのか?もちろん川村さんは全然関わってない
ええ、たしかにひどい。なにせ、こっちがオリジナル。まさにそのまんま。ペプシの方のYouTubeのコメント欄も荒れ始めてます。
しかも、「日々の音色」は文化庁の2009年のメディア芸術祭で受賞している作品でもあり、言うべきことは言ってもいいのかなと思ったりもします。
リンク: もろパク [ペプシの社会貢献プロジェクトのプロモビデオがひどい件] - higuchi.com blog.
ペプシの広告宣伝担当さんが、極東の島国のマイナーなバンドのプロモーションビデオのことを知らなかったとしても無理はないけど、これをしれっとクライアントに提案した代理店のクリエイティブ担当とか、恥ずかしくないのかなあ。結局クライアントの社会からの評価を下げちゃうんですけど……。
しかも、ソーシャルな協力ででき上がったビデオに対して、パクりが社会貢献活動のメッセージとして使うのも、なんというかお見事すぎる。
リンク: 日々の音色 PV完成! | SOUR official blog.
今回はSOURwebとmixiSOURコミュで、出演者の募集をしました 全編webカメで、僕ら自身の映像もwebカメで撮った素材を送って編集してもらいました 海外からの応募もあった様で、ご協力頂いた出演者の皆様もありがとうございます!
で、このパクり問題をクリエイティブから考えていくのは、過去に何度も繰り返されているし、実際パクリは栄誉だし、繰り返されている様に、衝動はパクリから出ている。また、クリエイティブで考えると、オリジナルの「日々の音色」が善意で作られているのは、美しいけどそれでいいの?という話もあります。
ただ、ここではリテラシーの高い人たち、志の高い人にとっては、基本的にソーシャルであることはいいことだし、現状認識であるとして、もう少し考えてみたいです。
まずは、手法の拡大。
リンク: ひ、日々の音色の手法!?ペプシの新CM「Pepsi One People Commercial 2010」 | mifdesign_antenna.
今日から開催される文化庁メディア芸術祭でエンターテインメント部門を受賞された、SOURの「日々の音色」のPVの手法ではないですか!
オリジナルを作った人たちや歌っている人たちの気持ちも心も理解したいし、感じる部分も多いにあるのですが、優れた手法はそれはそれとして拡大されていくべきです。
実際、「日々の音色」はすごい勢いで見られてたし、まだまだ見られています。
リンク: 川村真司インタビュー「日々の音色」YouTube150万回ヒットの理由 | HEADLINE | moonlinx.
時代に合っていたんだと思います。スカイプなどのビデオチャットがカジュアルなコミュニケーションの手段になり、一般層にも広がりましたからね。そしてクラウドソーシングなど一般の人々を通してアイディアを作り上げるといったような、クリエイティブな人と人のつなぎ方が模索されはじめている時期。その時代感がうまく表現とハマったのだと思います。
だから、この手法の伝播は止めるんじゃなくて、もっと拡大・加速していいし、そうあるべきなんだと思います(もちろんパクリの制作側にパクるだけの心構えは必要ですが)。
このジャンクションという写真集は、純粋写真集ではなく、こういう写真を撮りたい人のためのマニュアルなんですね。
なるほど!こういう写真を撮りたければ、ここに行けばいいのか!ということですね。
もちろん、作者の大山総裁はその辺ちゃんとわかっていて、このジャンクションという写真集にはキャプションから地図から詳細な情報が詰め込まれています。
つまり、手法の公開です。みなさん勝手にやってね!ってことです。
だからflickrで大山総裁は写真をcreativecommons表示-継承 2.0 一般で公開しているわけです。
で、これを継続することで、この手の写真は大山総裁ものとして認知されるわけです。オリジナルはひたすら継続、フォロワーは拡大の一途。これがあるべき姿だと思うわけです。
実際、私が先日高架下初詣で撮った写真を友人に見せたところ「大山総裁風だね」というコメントをもらうわけです。
そして、マニュアルみて、現場に行き、実際にカメラを構えてみると、フォロワーはオリジナルの凄さに驚愕するわけです。
だから、尊敬が生まれて、手法は磨かれて、作品はどんどん増えていき、それはネットのソーシャルの網の目の中で、必ずオリジナルに戻っていきます。
もう一度いいます。
今という時代は、リテラシーの高い人たち、志のある人たちにとっては、とてもいい時代なんです。
▼ネットがあれば履歴書はいらない-ウェブ時代のセルフブランディング術 (宝島社新書)
で、それは実はネットに限ったことでもなく、世の中でも、例えば街のケーキ屋さんにも起きていることなんです。
リンク: 「アホか」と言われたイベントに家族が涙する理由 一度訪れるとファンになってしまう洋菓子店 JBpress(日本ビジネスプレス).
だから、ほかのケーキ屋さんにもどんどんやってもらいたいと思います。幸いなことに、賛同してくれる仲間のケーキ屋が今、増えつつあります。いつか「夢ケーキの日」が全国的なイベントになればいいなと思っています。
みんなに喜んでもらえることを考えて、社員みなでやり続けた結果(850個のケーキですよ!)、リピーターが増えて、売上も上がり続けている。
これですよ。
だから、パクリなんてほっといて、この手法の見事さとソーシャルでやることの意味、その伝播、広がり、そして作り方・やり方。そういったものを磨き上げる方向に動きが向かっていくといいなと思う次第です。
そして、そうすることで、結局はオリジナルを産み出した人たちが最大の評価を受けるのです。
今はそういう時代です。
【追記】
既に世界中でパクられまくっているようです。でも、ちゃんとオリジナルは「日々の音色」だよという記事もちゃんとアップされています。
but the bad part is seen quite few rip-offs from all over the world: one cellphone commercial from Israel, one music video from France, snack commercial from Philippine as far as we know.
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投稿:by いしたにまさき 2010 02 04 03:27 PM [ネット全般] | 固定リンク
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» [iPad]YouTubeで「日々の音色」を楽しむ from Entrepreneurshipを探る旅
久しぶりのゆっくりとした休日。iPadでYouTubeにアクセスし、子供のいつものお気に入りを見た後、オススメのページに行くと「日々の音色」というのが紹介されていた。
映像が工夫されていてとても面白い。
これまであまりYouTubeを見ることがなかったけれど、最近、一気に見る頻度が上がったような気がする。
これもiPad効果?!
参考:
・「日々の音色」のビデオはパクリ問題よりも、その手法の拡大を目指して欲しい(Pepsiが「日々の音色」のPVをパクってCMを作ったとか。P... 続きを読む
受信: Jun 5, 2010, 1:47:27 PM