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2010.06.14

小惑星探査機はやぶさを巡る物語「オタクが世界を救う」




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きのうの夜は、探査機はやぶさが地球に戻ってきた日でした。

私は事前情報としては、クロースアップ現代のはやぶさ特集を見たぐらいったんですが、これがすごかった。あの時間できっちり見せられるNHKはやっぱりすごいです。

 リンク: クローズアップ現代6月10日放送「傷だらけの帰還~探査機はやぶさの大航海」書き起こし - Imamuraの日記.

Webで見ることができる情報としては、以下のページなどはよくまとまっていると思います。

 イオンエンジンを開発したNECの特集ページ:リンク: チーム「はやぶさ」の挑戦 | はやぶさ、7年間の旅 | NEC.

 リンク: ASCII.jp:祝帰還!「はやぶさ」7年50億kmのミッション完全解説【その1】|“JAXAの真田ぁ~ず”に総力インタビュー!.

私はちゃんとオンタイムでは追いかけられずにニコ生の「おかえりなさい。はやぶさ 5​0億キロ宇宙のおつかい」をタイムシフト予約して、様子を追いかけていました。

このニコ生は結果的に20万人もの人が見ていました。

はやぶさがここまでの中で既にかなり困難な道筋になっていて、帰還がホントにできるのかどうかもわからない状況ではあったのですが、はやぶさは無事に帰還しました。

 リンク: はやぶさ:世界初の旅終え帰還…カプセル着地を確認 - 毎日jp(毎日新聞).

はやぶさ再突入のライブ中継の様子は和歌山大のUstreamに記録されています。

テレビでは、さすがNHK。深夜1時のニュースの冒頭で高感度ハイビジョンの映像が流れました。NHKちゃんと現地に撮影隊を派遣していたんですね。

 リンク: はやぶさ カプセルの落下確認 NHKニュース.

NHKで映像が流れる前には、NASAが空撮した動画がYoutubeにアップされていました。

▼NASAが空撮したはやぶさ再突入の動画

NASAが空撮までしているのは自分たちの今後の研究材料として記録が必要だったからだと思います。

それを、NASAがYoutubeに公開しているのはいつものことですね。

終わってみれば、NHKはちゃんと撮影していて、NASAもいつもの仕事をしている。ツイッターなどでは、なんではやぶさの中継がないんだ!と怒っている人たちもいましたが、みなさいつも通りやってるってことでいいんだと思います。

むしろ問題はこの先にあって、はやぶさ2がちゃんと実現できるかというところにかかっていると思います。

 リンク: 有人宇宙港をめぐる冒険(2010-06-11).

さて、『はやぶさ』が帰ってくる今年、『はやぶさ2』は重要な局面を迎えています。8月31日には各省庁から財務省に予算案が出ていくわけですが、ここに『はやぶさ2』予算が、まぁ一声40億円か50億円ですかね、入ってないと、これはもう時間切れで、2014年あるいは2015年の『はやぶさ2』の実施は不可能になります。

不可能になるとどうなるかと言えば、「なーんだ、日本がこの分野、先進的な技術やノウハウを押さえてるから負けちゃうと思ってほってたけど、2015年を逃せば次のチャンスまではまだまだ年数があるから、その前にやっちゃって日本を追い抜こう!」と、アメリカさんが2014年あるいは2015年にC型小天体をさくっと探査してしまうことが予想されます。で、日本の得意分野がまたひとつ終了になる。そういう重要な局面です。

 リンク: オカエリナサイ――南オーストラリア・ク-バーペディにて: 松浦晋也のL/D.

はやぶさは世 界初の壮挙を成し遂げつつある。それは終わりではなく始まりだ。より深く太陽系を理解するためにより様々な場所へ、より遠くへ。

 リンク: はやぶさ記者会見@相模原 - Imamuraの日記.

はやぶさは今日で終わりを迎えたがその瞬間から技術の離散が始まっている。次のこういう行動の機会がなければ消えていく。つなげられなくなっていく。

さて!

こういったはやぶさを巡る一連の動きを見ていて思ったことは、いつも思っていることですが、やっぱり「オタクが世界を救う」んだなあということ。

はやぶさがここまでいかに困難な旅路であったかについては、以下のニコニコ動画を見るのがいちばんです。

まさに「こんなこともあろうかと」です。

上記、動画に出てくる専門用語の数々は以下のページで内容確認してもらえればと思います。擬人化が苦手という人はこちらとかどうぞ。

  リンク: JAXA|はやぶさ、地球への旅に出発~最後のチャレンジを達成するために~.

まあ、要するに宇宙戦艦ヤマトです。真田さんです

また、はやぶさには最後の仕事の次にもうひとつの仕事が与えられていました。

はやぶさはカプセルを射出する際に、姿勢を地球に背中に向ける必要があります。そのままなにもしないと、はやぶさはそのまま地球を見ることなく、大気圏に落下して燃え尽きます。

落下する前に、もう1度地球にはやぶさを見せてやりたいという、実にロマンチックなことを研究者のみなさんをやったわけです。

 リンク: 「はやぶさ」大気圏突入前、地球撮影に挑戦 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞).

その直前、地球の撮影に挑む。大気圏突入で燃え尽きるはやぶさ。「7年ぶりに戻ってきた故郷の姿を最後に撮らせてやりたい」という研究者らの思いは通じるか。

この様子はすでに絵本的な物語として描かれています。

Hayabusatan2

 リンク: [drawr] すこっち - 2010-06-13 12:35:13.

はやぶさに最後に地球の姿を見せたかったというのは、実は研究者のエゴと見ることもできます。

ただ、そのエゴをエゴと批難できるものなんていないでしょう。はやぶさに見せてやりたいのではなく、はやぶさが研究者たちの思いのハブとなっているわけです。

 リンク: はやぶさ:地球の撮影が最後の仕事に…JAXA、画像公開 - 毎日jp(毎日新聞).

写真左上には地球、右側には暗い宇宙空間が写っている。送信の最中に通信が途絶えたため、写真の下部は欠けている。

やっぱり、これまで誰もやっていない領域に挑戦して、それが成功することには「思い」がなんだかんだで必要なんですね。

「思い」なんかなくても実現はされたんだけど、「思い」が人を動かすわけです。

 リンク: 日本経済新聞.

はやぶさの機体そのものは大気圏で燃え尽きて流れ星に。川口氏は「かける声もない。7年間は(はやぶさを)子供のように思いながら見守った」と感慨深げに 語った。

 リンク: はやぶさ:JAXA教授「神がかり的だった」…任務完了 - 毎日jp(毎日新聞).

「この7年、こちらの指令をけなげにこなし、身をていしてカプセルを届けてくれた。明日から運用がないという事実を、受け入れられないでいる」

私はこの「思い」に関することをうまく言葉にできなかったのですが、ツイッターでこんな言葉を見つけました。

 リンク: Twitter / じゃりねこ: しかしあれだ。ちゃんと作られたものが ....

しかし あれだ。ちゃんと作られたものが正しく使われて、その結果として正しく作動しているだけなのに、どうしてこんなにしんみりしてしまうのだろう。当たり前のことでしかないんだけどなー。

これがはやぶさの擬人化という動きを誘います。

JAXAのツイッターはこんなことになっていたし!

フィギュアの受注も始まっています。

Hayabusatan

 リンク: アオシマBLOG: 擬人化フィギュア「はやぶさたん」受注開始しました - livedoor Blog(ブログ).

そして こちらが「オカエリナサイ」台座。文字は回転可能ですが、ここらへんはお客様都合でお願いします。

擬人化フィギュア はやぶさたん オカエリナサイ台座ver. (PVC着彩済みキャラクターフィギュア)

で!

野暮を承知で書くんだけど、なぜみなが「オカエリナサイ」と言っているのか?これにも訳があります。

役目を終えて、満身創痍で地球に戻ってくるはやぶさの姿に1つの物語をみなかぶせているからです。

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見ていない人もいるので、細かいことは書きませんが、この感動的なラストシーンに出てくるのが「オカエリナサイ」なんです。

そうそう、はやぶさが再突入で燃え尽きる様子ガンダムのシーンを重ねる人もいました。これもそりゃそうでしょうという話です。

はやぶさに限らず、現実がSFを追い越しアニメに追いついたってのは各方面で起きています。

でも、これって当り前のことで、現実って言ったって、結局は人が考えて人が実現することなんです。だから、追いつき、追い越しというのはちっとも不思議なことじゃない。

問題は現実になるというところにまで、技術力が上がっていることのすごさにあるわけなんです。

そして、その技術を生み出した人たちの背中を押しているのが、アニメだったり萌えに象徴される様な、一般的な感覚とか少し違う行動をしてしまう「思い」なわけです。

こういうことって実現されるまでには途方もない時間とエネルギーが必要で、そこに到達するためには、理屈を超えた世界とその共有っていうものがないと実現されません。

それを今いちばん多くの人たちがわかりやすく共有して見せてくれる世界がオタクの世界。

だからやっぱり「オタクが世界を救う」としか思えないんですね。

ただし、明るく・朗らかである限り。

また、人間なんて意外と単純なもので、幼少期に味わったものをベースにしてしか行動をすることはあっさりできなかったりするものです。

このエントリーに中に出てくるアニメは昔のアニメやその昔のアニメが好きな人たちが作ったアニメです。つまり、こういうアニメが「思い」の下地を作っていてくれたから、きょうという日があるわけです。

そして、日本のテレビでは中継がなかったとか、ニコ生が20万人ということが持つ意味とか、実際はやぶさのライブ中継はUstもニコ中オンタイムではぜんぜんつながりませんでした。

これはどういうことかというと、こういう人たちはそんなにいっぱいいないけど、けっこうな数いるわけです。

このエントリーでもまだまだ「オタクが世界を救う」ということをうまく説明できているとは思いませんけど、そう考えるとわかることって、他にもいっぱいあると思います。

ノブレス・オブリージュ、はやぶさが救世主たらんことを

惑星探査機 はやぶさ (1/32 スペースクラフト NO.01)
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現代萌衛星図鑑
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週刊 ダイヤモンド 2010年 6/12号 [雑誌]
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はやぶさ―不死身の探査機と宇宙研の物語 (幻冬舎新書)
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ところで、はやぶさ コスプレの人MAKE05にいたのね。ちっとも気づいてなかった、おれはアホか。

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投稿:by 2010 06 14 10:30 AM [オタクが世界を救う] | 固定リンク

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