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2010.07.28

ひょっとするとこの先の人生の何かを決めてしまった「環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)を歩くツアー」




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環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)を歩くツアーというのに参加してきました。

 リンク: スキマチトーキョーのスキマ: 【ツアー】環状二号線を歩く.

新橋~虎ノ門を環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)の完成形を感じながら、 エアポケットのような都心をただただ歩く、というツアーです。

このツアーのきっかけは、以下のDPZの大山総裁の記事。

 リンク: @nifty:デイリーポータルZ:壁とマッカーサー.

この「マッカーサー道路」はなんと終戦直後1946年に計画されている。戦災復興都市計画のひとつ。それがいまだに完成していないというわけだ。 「マッカーサーがつくるように指示した」という都市伝説があり、そこから「マッカーサー道路」と呼ばれているらしい。

ぼくも都市計画は勉強したので多少の知識があるが、そこから推測するにこのマッカーサーの指示というのは事実ではないだろう。というのも、当時の占領国側 は戦後の都市計画にまったく冷ややかで、むしろ計画を却下してきたのだから。

上の写真を見ると、もともとあるまだ取り壊しされていない建物もそんなに背が高くないことが分かる。歯抜けにならずともここ一帯は周辺を高い建物にかこま れた谷底のような場所だった。これは道路が計画されていたため、60年あまりも「ここには3階建て以上の建物を建ててはダメ」という規制があったのだ。

実はこの地帯というのは、私の少し前の職場の近くで、よく知っているところでした。ええ、あそこはなんか変な場所だなあとは思っていたんです。

ということで、けっこう軽い気持ちで参加したわけです。

以下、そのツイッターログ。

ところが、参加してびっくり。

まさか、こんなに面白いと言っては失礼すぎる、私にとっては人生の何本かの指に入るツアーになったのです。

いきなり読者のみなさんを全力でおいてけぼりにしていると思いますが、まずは予備知識からいきましょう。

今回のツアーで歩いたのは、正確には「環状第二号新橋・虎ノ門地区」と呼ばれています。詳細な情報については以下のリンクなどで確認可能です。

ここで大事なのは、この「環状第二号新橋・虎ノ門地区」の都市計画は60年前に立てられて、まだ完成していないのだが、それがけっこう最終局面に来ているということです。

実際、約3年ぶりにその地域をじっくり歩いたのですが、風景はすっかり変わっていました(大山総裁の記事が書かれた頃と比べても大事変わっている)。

DSC02895

これは言葉を変えると、この「環状第二号新橋・虎ノ門地区」は、60年間ずっと調整し続けていた場所だということです。ここ大事。

ツアーは「環状第二号新橋・虎ノ門地区」の始まりからスタート。

DSC02885

また、ちょうどいい位置に神社(移築されたらしい)があるし、その後ろはいわゆる汐留地区ですね。

工事もどんどん進行しています。

DSC02888

そして、ずっと調整されていたことを物語るのがこの交差点。

DSC02907

この写真だけ見ると、まさに十字の交差点に見えると思いますが、白い幕の部分は工事中です。

そう、いつか道路が通るという理由で、この交差点の角のビルは交差点にあるビルがそうである様に角を取った状態で立てられているんですね!60年間道路なかったのに!

そして、地下に道路が作られる新橋地区を抜けると、今度は虎ノ門地区で道路は地上に出ます。

ここもだから面白いことになってる。

DSC02930

ポニーキャニオンの真下にある店。どう考えても変な形になっているのは、この店の前に道路が通る(はず)だから。

そして、長年の謎だった虎ノ門病院のへんな別館的な建物。

DSC02934

これも、ここに道路が通るんですね。だから、取り壊してもいい様に作られているわけです。ただ待ってない辺りが虎ノ門病院えらいですね。

ツアーはここで終わりです。

で!

今回のツアーに参加して、なんで私が最近いわゆるドボク系とかのイベントに参加している理由がすごくよくわかった。

もっと正確に言うと、このツアーの前にピンチョンの「メイスン&ディクスン」を読んでいることと、このツアーを同じタイミングだったおかげで、すごくいろんなことがわかった。

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)

ドボクと文学って関係なさそうですよね。でも、すごく関係があったんです。それはこのツアーに参加しなきゃわからなかった。

ドボク系で愛でられる対象というのは、全部土地に刻印された原罪の様なものです。

ここで言う原罪というのは、人が土地を使う以上、その土地を何らかの形で収奪しないわけがないという意味です。

で、これはここ最近の話じゃなくて、近代以降の枠組みの中で考えないといけなくて、その意味ではすこし前に話題になっていた日本橋景観問題とかがその象徴。

日本橋景観問題ってのは、後藤新平が空気読まない(by 大山総裁)で、お江戸日本橋の上に首都高を通してしまったことに対して、それは景観的にいかがなものかという話なんだけど、正直どうでもいい。

だって、近代以降の枠組みで考えれば、ここから道を始めると江戸時代に決めた日本橋も首都高も同じ原罪を抱えている。その同じ原罪を抱えたものが、まさに同じレイヤーで同じ場所にあるという光景はそのまま残した方が、原罪を理解するという意味では、ずっとわかりやすい。

むしろ景観が問題だと、首都高を地下にすることで、近代以降のわれわれが抱えている原罪が見えなくなる。

もちろん、私はその原罪を断罪することなんて考えてなくて、どうせわれわれはその原罪の上にいるわけだから、その原罪と戯れて先に進みたいわけです。そのためには「土地の刻印」というものには、とりあえず自覚的じゃないと、私は気持ちが悪い。だから、とりあえず見に行きたいわけです。

ここから「メイスン&ディクスン」の話になるんだけど、この小説で描かれているのはあくまでもアメリカの話。

アメリカには土地ということで考えると、メイスン・ディクスン線以降という枠組みがあるのですが、日本では太閤検地以降という枠組みがあります。

ただ、太閤検地が偉大なのは「測量して荘園はゼロにしたけど境界線は大きくは変更していない」ということ。つまり日本人らしく「空気を読んだ線」になっているということです(by 大山総裁)。

アメリカという国は境界線を直線で引いてしまう、「空気を読まない線」を引く様な国だから、そこが日本とはまったく違う。

そして、日本人的な「空気を読んだ線」を、日本はとうとうその土木技術というテクノロジーの進化が解決してしまった。

どういうことかというと、地上に道路を作れないなら「地下を掘ればいい」、「ビルの下に道路通せばいい」ということことが、もう日本ではできてしまう。

その「空気を読んだ線」を実現するテクノロジーの刻印された場所を見ることができたのが、この「環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)を歩くツアー」だったんです。

ね!

ほら、テクノロジーは人が生み出したものだから、人の敵じゃない。むしろ、テクノロジーはあるラインを越えるとひどく人間臭くなる(日本的風景の代表である「里山」だって、実はテクノロジーの産物)。

だから、ピンチョンは「線を引く」ということをテーマにしたんですな。

はい!今、かなり行間飽きました!

でも、この行間は今埋めなくていいし、今埋められない。これはこの先に考えればいいこと。

このこの先に考えるテーマを確認することができたから、私にとってこの「環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)を歩くツアー」はかけがえのない体験になりました。

ということで、このツアーを企画してくれた@KOICHIROHときっかけになった記事を書いた大山総裁に感謝するとともに!

【今日の備忘】近代と「語り手」、私(わたくし)性、線引き、太閤検地のテクノロジーと日本、そしてピンチョン「Mason & Dixon」、「ケンチク」、建築家の身長。less than a minute ago via HootSuite

この先もわいわいともろもろ追いかけていきましょう!

首都高をゆく (イカロス・ムック)
首都高をゆく (イカロス・ムック)

東京メトロをゆく (イカロス・ムック)
東京メトロをゆく (イカロス・ムック)

いやあ、まさかドボクのおかげでピンチョンがわかる様になるとは思わなかったよ!

ピンチョンに関しては、かなり投げっぱなしになっているので、後日別途記事にします。

ああ、それにしてもピンチョンホントすげー、すげー。あんたえらすぎるよ。近代の呪縛から逃れるのは、ここテーマにしないと始まらないものねえ。

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投稿:by 2010 07 28 10:30 AM [悪い景観,ドボク,工場萌え,Kojo-Moe] | 固定リンク

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