みたいもん

トップ > 重力の虹を読む > 『メイスン&ディクスン』トークイベントはおれのピンチョン理解を光速で深めてくれました

いしたにまさきの新刊:HONDA、もうひとつのテクノロジー ~インターナビ×ビッグデータ×IoT×震災~ 01 それはメッカコンパスから始まったHonda、もうひとつのテクノロジー 02 ~インターナビ×GPS×ラウンドアバウト~ 運転する人をサポートすることHonda、もうひとつのテクノロジー 03 ~インターナビ×災害情報×グッドデザイン大賞~ 通行実績情報マップがライフラインになった日

HONDA、もうひとつのテクノロジー ~インターナビ×ビッグデータ×IoT×震災~ 01 それはメッカコンパスから始まった (カドカワ・ミニッツブック) Honda、もうひとつのテクノロジー 02 ~インターナビ×GPS×ラウンドアバウト~ 運転する人をサポートすること<「HONDA、もうひとつのテクノロジー」シリーズ> (カドカワ・ミニッツブック) Honda、もうひとつのテクノロジー 03 ~インターナビ×災害情報×グッドデザイン大賞~ 通行実績情報マップがライフラインになった日<「HONDA、もうひとつのテクノロジー」シリーズ> (カドカワ・ミニッツブック)

2010.07.29

『メイスン&ディクスン』トークイベントはおれのピンチョン理解を光速で深めてくれました




Clip to Evernote

このエントリーをはてなブックマークに追加

週末、万全の体調で「メイスン&ディクスン刊行記念 柴田元幸×伊藤聡トークイベント」に参加してきました。

R8070741.JPG

 リンク: オリオン書房ホームページ-イベント・フェアのお知らせ‐ノルテ店 柴田元幸×伊藤聡トークイベント.

なんというか、もうあまりにも予想通りの展開なんですが、このイベント以降、私の頭の中ではピンチョン一色です。

それはまずは伊藤さんのおかげです。

 リンク: 2010-07-27 - 空中キャンプ.

イベントはもちろん『M&D』についての話が中心となり、なぜこのようにクラシカルな文体が採用されたのか、一人称はどのように決定したのか、重要なモチーフである「線を引く」という行為の正当性などについて有意義なトークができました。

メイスンとディクスンの性格のちがいなどについても話題はおよび、メイスン支持派の柴田さんと、ディクスンだいすきなわたしという差がでたのもおもしろかったです。

原文と訳文を並べて、なぜこの原文がこうした訳文になったのか、というような比較もしてみたのですが、なにか授業のようなたのしさもあって、わたし自身とてもたのしめました。

これはホントよかった。

訳文パートはこんな感じ。

R8070744.JPG

原文パートはこんな感じで。

R8070743.JPG

また、柴田先生がときどき原文も訳文も朗読してくれて、その朗読はなんとも言えないぐらいにいいんです。染み入る朗読ってああいうのを言うんだと思う。

柴田先生がいかにいい人なのか、以下のイカしたレポートに詳しいです。

 リンク: 『メイスン&ディクスン』刊行記念トークイベントの感想 - 峰なゆかのひみつの赤ちゃんルーム.

実際に柴田さんのトークショーを聞いて、お話させてもらえたりなんかしたら予想以上にいい人で、私ってどこまで醜いのかしらと落ち込む暇もなく「柴田さん すてき! 大好き! ナイス半ズボン!」と桃色脳髄で思いました。

さて、問題は質問タイム。

実は、今回「今一番聞きたいことを世界でいちばん聞きたいことを聞ける」というチャンスだったんです。

私が聞きたかったのは以下のこと。

  • まだ途中までしか読んでいないけど、これまでのピンチョン作品と比較するとびっくりするぐらいに「メイスン&ディクスン」は読みやすい
  • ピンチョンの小説って、別に小難しくはないんだけど、世界観というか小説の空気になじむまでにはすごく時間がかかる
  • 「メイスン&ディクスン」は、えー!ピンチョンなのに!っていうぐらいにどんどんページをめくれる
  • それはこれまでの話にあった様に、ひとつに史実をベースにしているということが原因なのか?
  • もうひとつはキャリアを重ねたきたこと、年齢的な問題などがあったのだろうか?

それに対して、柴田先生はこう答えてくれました。

  • 年齢的なことではなかなあ
  • ひとつには史実に基づいているからというのはあると思う
  • また、基本はチェリーコーク牧師による回顧という形は変化しないので、話のトーンがけっこう一定であっちこっちいかないからというのもあると思う
  • 実はエージェントに言われたことがあって、それは「重力の虹」なんかは複数の翻訳者による翻訳でもいいけど、「メイスン&ディクスン」はひとりの翻訳者による翻訳じゃなきゃダメと言われた

もう最後がそのものずばりの回答でした。つまり「メイスン&ディクスン」においては語り口が変化しないことがいちばん大事だ、ということですからね。

同じですごく納得できました、腑に落ちました。

また、他の質問の回答の中で、印象的だったことをメモしておきます。

  • 直接ピンチョンに質問できて、すごく親切に答えてくれた
  • ピンチョンには会えないけど、ピンチョンは誰にも会わない。実は友達もいるし、外にも出かけているのに、これだけピンチョンに関する情報が出ていないのはそれだけ友達が彼を守っているということ。そんなピンチョンの人柄ってすごいよねえ
  • 翻訳は遊びだから、好きにやっている

最後にはちゃっかりサインもらってきました。

R8070745.JPG

そう、このトークイベントと先日の環状2号線ツアーのおかげで、私はピンチョンのことが少しわかったんです。

ピンチョンの何がわかったのかについては、またいつかじっくりと時間をかけて書きたいと思いますが、「境界線」と「近代の呪縛」と目線が定ったことで、この先の「メイスン&ディクスン」を読む時間は、もっともっと豊かなものになるように思います。

ホントいいイベントでした。読み終わったら、また伊藤さんと話したいなあ。

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(上) (Thomas Pynchon Complete Collection)

トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)
トマス・ピンチョン全小説 メイスン&ディクスン(下) (Thomas Pynchon Complete Collection)

« ひょっとするとこの先の人生の何かを決めてしまった「環状二号線(いわゆるマッカーサー道路)を歩くツアー」 | トップページ | 「借りぐらしのアリエッティ」前半と後半の明暗 »

投稿:by 2010 07 29 10:30 AM [重力の虹を読む] | 固定リンク

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/12272/48977391

この記事へのトラックバック一覧です: 『メイスン&ディクスン』トークイベントはおれのピンチョン理解を光速で深めてくれました:

» トマス・ピンチョン『逆光』には今回は追走者がいてくれるんですよ! from [mi]みたいもん!
予想通り、メイスン&ディクスン読破にあと1年ぐらいかかりそうなおれですが、例の新 続きを読む

受信: Oct 26, 2010 11:33:41 PM

 
We are bloggers.