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2011.04.22

311東北地方太平洋沖地震:帰宅ログ、あの日首都圏は被災地だった




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千葉大学工学部都市環境システム学科の主催で行われたトークイベント・多様な視点から見る『都市』に行ってきました。

千葉大に行くのは、たぶんそれこそ10年ぶりぐらいです。千葉大はやっぱり西千葉から入るに限りますね、あの正門を入ったときの変な感じが大好きです。

このイベント、出演はGPS地上絵師でもある石川さん

そして、もうひとりは大山さん。

 リンク: 「住宅都市整理公団」別棟 : 2011/04/16(土) ・母校で「帰宅ログ」などの話をします!.

「都市環」っていうのは、まあ、おおざっぱにいって在学中にぼくが勉強してた学科みたいなもんです。つまり、未来の団地マニアとか工場萌えが在学しているわけですよ。ちがいますかね。

で、ここの学生たちが催すイベントに呼ばれたしだい。いまのところ、例の「帰宅ログ」の話などをする予定。(上の鳥瞰図はみなさんからいただいた帰宅ログの徒歩部分をマッピングしたもの)

でだ!

DSC03615

なんとも面白い中身のあるイベントで、その様子はツイッターのまとめで見てもらうとして!(さっきの千葉大正門の不思議さの謎も指摘されています)

ここでは、震災に関連した、首都圏も被災地になった3月11日、つまり交通網が麻痺したときの東京とわれわれというところに絞って、当日の話を紹介しようと思います。

石川さんからの話の中で、まさに実感だったのは「職場から家までは一度歩いておけ」という話。

DSC03621

人が普通に歩ける距離としては、だいたい20kmが限界で、3月11日もそれぐらいの距離の人が歩いて帰宅しました(それ以上の距離になるとあきらめる)。

なお、私は災害時のことを考えていたわけではないのですが、歩くのが妙に楽しかった時期があり、よく恵比寿から10kmぐらい離れた自宅まで歩いて帰っていました。

その経験を元にすると、いきなり20kmは辛いので、まずは家まで10kmぐらいの駅から歩いておくことをおすすめします。

一度10kmを経験していれば、20kmはその倍です。何も根拠がないよりは、ずっとペースも疲労度もつかめるはずです。

で、石川さんは今回の震災以前に一度徒歩帰宅を実践されていました。その経験の中から、いちばん大事な話がこれです。

DSC03795

ホームレスにとって冷たい都市は、災害時に被災者にとっても冷たい都市になってしまうということ。

以前から、ホームレスを無駄に排除することに違和感を持っていたのですが、ここにひとつの回答がありました。

結局、非常時のことを普段の発想だけで考えてもダメなんですよね。その都市の中で、普通の人にとっての非常を体現しているのがホームレスだったということです。

で、後半の大山さん。

ここもいろいろな話があったのですが、ここでは「帰宅ログ」の話。

DSC03839

上のマップは、200人近く寄せられた3月11日どうやって家まで帰ったか?の情報を元に大山さんがその200人の中から70人ぐらいの帰宅経路をマッピングしたもの。

これを見て分かるように、マッピングされた線、けっこうな数がまっすぐです。これはどういうことかというと、やっぱり幹線道路を頼りにして帰った人が大部分であったということです。

それを大山さんの言葉でいうと、こうなります。

「ぼくらは東京を距離と方角で把握していない」

私は幸い、東京を電車 → 徒歩 → 自転車 → 自動車の順番で把握していったので、少なくともよく行く場所から家までの距離と方角はだいたい把握しています。

でも、もともとはスーパー方向音痴ですから、普段行かない場所からだともう全然ダメです。

そうなると、もう位置関係は電車の路線でしか把握できていないんですね。それがこういう非常時には致命的な問題になります。

他にも、この「帰宅ログ」には記録として価値ある情報が含まれていました。全部は拾えていませんが、以下メモしたものです。

  • 幹線道路を歩いた
  • 新宿にいけば、なんとかなると思った
  • 結局最後まで歩いた、電車動くまで待てばよかった
  • 一人になった途端に不安になった
  • 徒歩ルートの道路標識が欲しい
  • 電話が不通なので歩いて家族の安否を確認にいった
  • 非常持ち出し袋が重かった
  • 途中で食事をした
  • 電車と違い、徒歩の最適ルートは放射状じゃない
  • 保育園に子供がいるから帰らないといけない
  • 家まで60kmあるので交通機関が復帰するまで待った
  • JRが動かないとメトロを乗り継ぐしかない
  • 職場と家が近いって素晴らしい
  • おばあさんが関東大震災よりもひどかったと言ってた
  • ペットが心配
  • 一人ぐらしの女の子は帰っても心細い
  • メイク、災害時のすっぴん問題
  • 歩道が人であふれた
  • 改札が人であふれた
  • 復帰した電車はラッシュ以上の恐怖
  • そもそも帰った方がいいかどうかの判断はどうすればよかったのか
  • 徒歩と地形、googleマップは高低差を考慮しないので無駄な登り道を歩くことになった
  • 鉄ちゃんの情報がいちばん正しい
  • とにかく車が動かない、置いておく場所もない
  • 電気がないと都市はバリアフルになる
  • 高層ビルで揺れて、不安になったのでオフィスにいてもよかったんだけど歩いて帰った
  • 設備があるのに帰る人がいたのは派遣先のオフィスだから、派遣は鍵を持ってない
  • 動くなら日がある明るいうちに
  • 会社の車を放置できなかった
  • 246がよかった、甲州街道もよかった(電車と幹線道路が近接している)
  • 電車と鉄道が一致、家は大通りの近くがいい
  • 246を歩くのがこわかった、高架の下は歩きたくない=神戸の高速が倒れたあの映像の記憶
  • 電車が動いてないのわかっているのに新宿に向かってしまった
  • 出張に行ってた、新幹線優秀すぎる
  • 居場所がない不安、行きつけのバールへ、自ずと集まれる場所があって安心した
  • 避難所にいっても長時間いられずに帰った人が多い
  • 職場にいたくなかった、オフィスの非常時の居心地問題
  • 新幹線の中にいたので、むしろ動かないでくれと思った
  • 自分が動いている場所をツイッターで知らせておくとみんなが声をかけてくれる
  • 新浦安の陸橋を超えたら急に被災地になった
  • 見知らぬ人に声をかけるべき
  • 20kmの人がやばい
  • 井の頭線の一駅と京急の一駅は違うよ
  • 友人宅が近場になかった
  • 大都市特有の避難所に求められる機能がある=クラスター別の避難所
  • 帰らなきゃと思ってしまった
  • 暗くなると紙の地図は役に立たない

他にも、そもそも帰るべきだったの?という問題は中でも大きく、帰るべきなのか?ということをもう1度考えておくべきなんでしょう。

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で、最後になるんですが!

みんなまだ3月11日の自分の帰宅の状況って覚えていると思います。

それを大山さんに送りつけるのも、ひとつの方法ではあるんですが、ここはGoogle様になんとかしていただけないと思うのが、普通の発想。

ということで、Googleでこの記事を読んで、もし賛同してくれる様であれば、Googleマップでなんとかなりませんか?

いくつかの質問に答えていくと、自動的にマップが完成するみたいな感じってできますよね。

いやGoogleでなくてもいいんだけど、これなんとかなりませんかね?

ホント今のうちに収集しておいた方がいい記録だと思うんですよね。

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投稿:by 2011 04 22 10:30 AM [ロギングされる僕ら] | 固定リンク

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