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2011.07.14

新型旅客機B787のローンチカスタマーの重み, ANA×ボーイング787ブロガーイベント




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アジャイルメディア・タイアップ・レビュー。この記事は、アジャイルメディア・ネットワークのタイアップです。

Dreamlinerと呼ばれるボーイング787。

お披露目発表会に続いて、ブロガーイベントが開催され、ローンチカスタマーのメンバーとして、まさにアメリカのボーイング社の現地に駐在して、開発にかかわった整備本部・技術部の並木さんに直接お話を聞くことができました。

DSC04574

飛行機好きであれば、みんな知ってることですが、このボーイング787は予定では2008年5月に納品される予定でした。

つまり、そこから3年遅れてしまったわけです。もちろん、理由もなくそうなったわけではなく、まさに最新鋭らしい機体になっていました。

まず、787がいかにいまどきの設計であるかというと、飛行機、それも旅客機の開発の歴史は、基本3つの要素を目標にしてきました。

つまり!

  • 速く飛ばす
  • 遠くに飛ばす
  • 機体を大きくする

今回の787は、そういう意味では、どれか1つの要素だけを重点的に向上させたものではありません。

すべての要素を、これまでの中型機よりも、バランスよく向上させているんです。列挙してみましょう。

  • 巡航速度マッハ0.85でボーイング767よりもちょっと速い
  • ボーイング767より燃費が20%向上
  • 航続距離が約5000km向上
  • 乗客数も少し増えた(セッテイング次第)

ここには、経済性とエコという要素も加わっていますが、これらのことで、これまでと何が変わってくるかというと、直行便に影響が出るんですね。

これまで、遠いところに直行便を飛ばそうとすると、大きい機体の飛行機じゃないといけなかったわけです。

ところが、大きな飛行機は多くの乗客を乗せないと採算が合いません。それをちょうどいい大きさの787で行けるということは、これまで直行便を飛ばせなかった飛行場に路線を開拓できるわけです。

実際、1席当たりの製造コストは大規模航空機と同水準まで改善されているそうです。

しかも、767とほぼ同サイズ(翼は長い)の787であれば、かなりの数の飛行場に離着陸できます。

つまり、787はエアラインの経営に直接影響を与える、エアラインの営業の在り方を変える可能性がある新型機ということなんです。

じゃあ、なぜこれが可能になったかというと、それが例の「21世紀の技術」と「もはや日本製」というところなんです。

【21世紀の技術】

複合的な要素を実現させるためには、機体をすべて向上させないといけません。

そのために、787ではボディをはじめとすると基幹部品に炭素繊維(カーボン素材)をはじめとする複合材が使われています。

胴体に至っては、なんと一体成型です。

カーボンといえば、ゴルフクラブとかラケットとかで使われているイメージがありますが、もう飛行機のサイズの大きさのものまで作れる様になったんですね。すげー。

で、カーボンを使う理由というのは、言うまでもなく軽量化と強度アップ(鉄の10倍)です。

【もはや日本製】

で、そういったカーボンや複合材の技術を持っているのは日本です。だから、日本の部品比率が35%という発表されていますが、この35%というのは、数字以上の意味があるんです。

つまり、基幹部品のほとんどが日本製ということなんですね。だから、わざわざボーイングの偉い人が「これはほとんど日本製の飛行機だ」と言ったんですね。「Made with Japan」というのは、そういうことなんです。

さらに、このボーイング787のすごいところは、飛行中のQOL(質的向上)の領域にまで設計が踏み込んでいることです。

ボディの中が広く取れる様になったことで、客室に開放感が生まれ、LED照明によるリラックスできる光。

窓も1.3倍広くなり、収納スペースも広がっています。

さらに、なんとほぼ地上と同じレベルの気圧と湿度を実現しています。

これは飛行機に乗る時には覚悟しなくてはいけなかった「耳がキーン」となったり、「お肌がパリパリ」になったりすることがないということです。

しかも、トイレはウォシュレット付

この機内の環境の向上の話を聞いていて、私は新幹線における700系からN700系への進化のことを思い出していました。

N700系がそうであった様に、B787も一度乗ってしまうと、きっともう他の飛行機に乗りたくなくなるような静かな旅客機に仕上がっているのではないかと思います。

今回は機内を見ることはできなかったので、機内の様子はANAの公式動画を見て、乗るときの楽しみに取っておきましょう。

さて、そもそもローンチカスタマーとして、全日空は787の導入に対して、3つの大きな目標を掲げていました。

  • 767の後継機として、国内線仕様としては300席クラスであること
  • 同じ機種で国内線と国際線、両方の運行が可能なこと
  • 羽田再拡張に合わせた国際線、国内線の事業拡張に対応可能なこと

最後の目標は残念ながら達成できなかったわけですが、それでも他の目標はすべて達成しました。

それによって767は順次引退して、大型機は減らして、保有機種の種類を少なくして統合していくことができる様になります。

そして、それ以上に大きなのがローンチカスタマーという経験だったんです。約1時間の説明の中で、そして説明後に出た質問の中でも、並木さんはなんども「こんなは経験できない」ということを繰り返しお話しされていました。

同時に「もう1度同じローンチカスタマーをやるか?」という質問にも、「絶対やる、だってこんな経験できないから」と力強く答えていました。

実は、欧米以外のエアラインでは、今回の全日空のローンチカスタマーというのは、始めてのことで、すごく名誉なことなんですが、私はそれぐらいにしかローンチカスタマーという意味を理解していませんでした。

つまり、初導入の意味をわかってなかったんですね。

初導入ってことは、相談するお手本がいないんです。むしろ、自分たちがお手本にならないといけない立場なんです。

ただ、そのすごい立場を受け入れる代わりに、自分たちに要望をダイレクトに新型機に反映させることができます。

日本は、世界的に見ても短距離で離発着回数の多い国内線事情を持っています。だから、他の国では気にならないことは問題になるわけです。

  • 整備を効率良く、簡便に行える設計
  • 国内線で修理の元になる冬季雷への対策(落雷すると機体に傷がつく)

この条件を実現するためにも複合材の採用が必須だったわけです。

これはすごいです。ANAが作ったものが、グローバルスタンダードになるわけですからね。

だから、ローンチカスタマーを引き受けることができるエアラインということは、特に海外での認知にも影響があるんです。

これもすごい話です。

そして、それもこれもワーキング・トゥギャザーを合言葉にしているボーイングの開発姿勢のおかげなわけです。

そうそう、並木さんのお話は、なんとも技術者の方らしいまっすぐな話しぶりで、「787は最初はもっとかっこよかった」とか「開発期間が目標だった、わはは」などと言われたときには、聞いている方が少しドキドキしてしまいました。

DSC04614

ということで、最後にもう一度「Made with Japan」のANA公式動画を見ておさらいしましょう。


さて!

実は、ここまで話をしてきても、まだボーイング787がいかにかっこいいか!という話をぜんぜんできていません。

ということで、まだ続く!

【全日空ANAからのB787関連の公式情報まとめ】

ボーイング787はいかにつくられたか 初代モデル1から最新787まで、世界の航空史を彩る歴代名機に迫る!! (サイエンス・アイ新書)
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BOEING(ボーイング)787ドリームライナーのすべて (イカロス・ムック)
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投稿:by 2011 07 14 10:30 AM [飛行機,旅客機,エアライン] | 固定リンク

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