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2011.09.30

Kindle Fireの衝撃はその戦略のすさまじいまでの正しさの結果である




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Kindle Fireが発表されました。出荷開始は11月の下旬。価格は199ドル。アメリカに住んでいれば、買わない理由はありません。円高を考えれば、タダみたいなもんです。

Kindle_fire

日本から見ていると、どうしてもアマゾンが提供しているサービスが享受できていないため、このKindle Fireのすさまじさが若干わかりにくいのですが、ちょうどアメリカ在住のお二人が、このKindle Fireのすごさについて書いてくれています。

まずは、Kindle Fireのハードウェア的なすごさ。

 リンク: AmazonのKindle Fireを衝動買いした理由 - Drift Diary XIII.

  1. $199という値段
  2. 7インチというサイズ
  3. IPS(iPadと同じ方式)液晶
  4. クラウドベースのAmazon Silkブラウザ
  5. 汎用性を削って作りこんだAndroidデバイス(しかも2.xベース)
  6. Android Tabletで唯一成功するデバイスになりそう

そう、値段だけじゃないんですよ。いや、その値段もすごいから手がつけられない。

そして、わかりにくいのが、なんといってもユーザーにアマゾンのある生活を提供し続けるアマゾンのすごさです。

 リンク: 洋書ニュース: Amazon依存症を増やすための、新しいキンドル製品群.

Kindle Fireは、カラーのタッチスクリーンで、電子書籍、新聞、雑誌、文書、ゲーム、オーディオブック(これらは他のKindleでも利用可)に加え、映画、テレビ番組、アプリケーションが使えます。

これまでの「読書のためのデバイス」から「Amazonクラウドのためのデバイス」として一歩踏み出したわけですが、Amazonの姿勢が変わったわけではありません。

彼らは、最初から「Amazon依存症」の人々を増やすことに力を尽くしており、その結果がAmazonクラウドなわけなのです。 最初は「書籍」だけでしたが、読書をする人が、他のモノも買うことを見いだし、それらの人々が買いたいものを、買いやすくしてやることに集中して来たAmazonの偉いところなのです。だから、分かっていても、私は喜んでAmazon依存症になっているのです。

さて、これらの2つの話を踏まえて、Kindle FireのテレビCMを見てみましょう。

Kindle Fireはメディアプレイヤーではなく、Kindle Fireは本である!ということがたしかに高らかに宣言されています。

そして、Kindle Fire本体もすごいのですが、drikinが指摘しているように、すさまじいのこの「Amazon Silk」という全く新しいブラウザーです。

 リンク: AmazonのKindle Fireを衝動買いした理由 - Drift Diary XIII.

従来の、 Androidデバイスにありがちな、Androidなら個別の作り込みをしなくても最低限ブラウザや、メディアプレイヤーの一通りの機能が保証され、更 にその上で頑張って、むりくり独自の作りこみをしましょう的なアプローチは、混沌を生むだけでうまく行かない中で、自分たちに必要のない機能や、必要でも 性能が足りないものは置き換えて、自分たちの実現したいユーザー体験に特化したデバイスの作りこみをしようという姿勢に大きな共感を覚えると共に、その Amazonの成果をいち早く見てみたいという興味です。

ここに搭載される新しいブラウザーです。なんとAmazon EC2とブラウザーをセットで使うという離れ業を提案しているのです。

 リンク: Amazon Silk ― Kindle Fireに搭載された「クラウドアクセラレーション」機能付きモバイルブラウザ.

「最近のウェブサイトをモバイルブラウザで迅速に表示するというのはかなり難しいことなのです」とBezosは言う。「そこで私たちは強大なAmazon EC2のパワーを利用して、モバイル機器でのウェブブラウジングを快適にする方法はないものかと考えてみたのです」。

Google+といい、結局は最強のデータセンターを持っていないと話にならない!という事例が続いていて、しょんぼりする気持ちもないわけではないのですが、それにしてもこのアプローチは正しすぎる。

つまり、ここまでの話を整理すると、Kindle Fireがソフトウェア的にもハードウェア的にも磐石すぎるのは、ユーザー体験をベースに設計されているからなんですね。

Kindleの新しいハードが出たとかいうレベルの話じゃないんです。iPodからiPhoneへの進化ぐらいのジャンプアップがここでは起きていると言ってもいいでしょう。

とはいえ、ひとつの謎が残ります。それはなぜKindle Fireがアンドロイドベースで開発されたかということです。

 リンク: Umihiko Namekawa - Google  - Kindle….

Amazonのビジネスはコンテンツ販売、Googleは広告代理業なので直接バッティングしない。逆にAppleのハード、コンテンツ、広告すべてを閉鎖的に垂直統合する戦略はGoogle、Amazonの双方にとって直接のライバルとなる。「敵の敵は友」で連合か?

いやいや、ホント面白い戦争をやってますよ。つーか、ホントうらやましいよ。むきー!

 リンク: Amazonのジェフ・ベゾス・インタビュー:現代の消費者向けエレクトロニクス市場ではデバイスだけ作っても決して成功できない.

「現代の消費者向けエレクトロニクス市場においては単なるデバイスを作っても成功することはできない。今重要なのはソフトウェアだ。デバイス自身で動作するソフトウェア、クラウド側で動作するソフトウェアの双方が重要だ。それらがシームレスに作動するサービスでなければならない。たとえばKindleを箱から取り出して最初にスイッチを入れると即座にユーザーの名前が表示されるのもその一環だ。タブレットを作っている会社の多くは単なるタブレットを作っている。サービスが作れていない」とベゾスは指摘した。

とりあえず、1個ゲットしよう。話はそれからだ!

【追記】

巨大データセンターが必要な理由について  

リンク: Kindle Fireに搭載されたクラウド型ブラウザAmazon Silkがアマゾンにもたらすもの、もたらさないもの - Future Insight.

現状、多くの企業が喉から手が出るほど欲しい、ユーザーのモバイル体験のログデータをこれでアマゾンはAmazon Silkでブラウザを快適に動作させる、という大義名分のもと取得することができる。このあとに起きることはきっと僕達にとっても未知の領域である。だけど、アマゾンがこれを分析しきるノウハウとプラットフォームを備えた企業であることだけは明白だ。

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投稿:by 2011 09 30 11:10 AM [Webサービス] | 固定リンク

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