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2011.09.13
WISH2011、3年以上続いているイベントが持つ価値と意味
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WISHも2011ということで、ついに3年目。過去にこの手のイベントの中で、3年以上続いているものって、余り知らないよねということで、まずはおめでとうございます。
3年ということで、日本とWebサービスを巡る状況もかなり変わってきました。
端的にいうと、Webサービスへの参加者が増えたということです。これはiPhoneをはじめとするスマートフォンの影響が大きいでしょう。
WISHのプレゼンを聴いていて感じたことは、実社会と連携したサービスが増えていることと、グローバル志向がどんどん増えていることです。ネットがどんどん普及しているのと、日本以外も視野に入れないといけない、という流れを大きく感じました
さて、WISH2011のまとめについては、とにかくコグレさんのレポートがすばらしいので、そちらを見ていただくとして!
- [N] WISHパネルディスカッション「新サービス・新製品にとってのソーシャルメディアの可能性」 #wish2011.
- [N] 「WISH 2011」プレゼンした10社(者)と受賞者! #wish2011.
ここでは、過去の2年間と同様に審査員として、今回のWISH2011がどう見えたのかということを書いておきたいと思います。
Webサービスへの参加者が増えた結果、WISH2011で発表されるWebサービスもWeb to Webであったり、Webでのコミュニケーションをターゲットにするものよりも、Webで実社会であるリアルをどうサポートするか、どうすればより生活がすばらしいものに変化していくだろうか?というものに移ってきています。
これは、これからのWebサービスの主戦場がまさに実生活とのかかわりというところになっていきている以上、仕方がないことです。
ただ、実生活を相手にしてしまうと、ホントにそのターゲットの大多数を取れるサービスでもない限り、Webサービスを運営する醍醐味のひとつであるスケールメリットはどうしても小さいものになってしまいます。
さらに、困ったことには、そのWebサービスがターゲットとしているクラスターから外れている人たちにとっては、そのサービスはほとんど必要ないものになってもしまいます。
ラーメンが好きじゃない人に、宅麺.comをどんなにアピールしても意味がないということです。しかも、それはもちろん宅麺.comのせいではありません。
これは、なんとも審査しにくいのです。実際、審査員の意見も割れました。
かの有名なけんすうさんはこうです。
#wish2011 で僕はiQONに一票でした。アジアにいけるコンテンツを作れる可能性という意味で将来性を一番感じました。
和尚はこう。
ちなみに私個人的なWish2011大賞はPeatexだったかなー #wish2011
コグレさんはこうです。
リンク: [N] 「WISH 2011」プレゼンした10社(者)と受賞者! #wish2011.
個人的に“勝手ネタフル賞”を挙げるとすると「PeaTiX」です。これは使ってみたいと思いました!
さて、私はというと、この2つで悩みました。
実は、プレゼンの順番もあり、まず可能性を感じたのは、iQONでした。ただ、私にはどうしてもでっかいもったいないお化けが見えました。
先日、公開されたインタビューでも、WISH2011のプレゼンでもiQONは「日本のファッション文化」をサービスの根幹に据えていました。
リンク: 「フジロック史上最高に売れなかったトラウマあり」 元バンドマン社長が作るファッションサイト「iQON」 (2/2) - ねとらぼ.
基本的な機能はPolyboreと「ほとんど同じ」だが、大きな違いは「日本人にアジャストしたサイト」である点だと話す。「作り手が異なればできる製品が違う。ディティールはもちろん、方向性も」。例えばこの夏は、音楽フェスに合わせたコーディネートを投稿するキャンペーンをiQONで実施したが、これは7~8月に音楽フェスがいくつも開催される日本の文化に合わせたもの。この文化は「外国ではあまり知られていないはずだし、外国人には企画できないと思う」と、iQONの“日本らしさ”を金山社長は強調する。
でも、プレゼンでサービスのことを見る限り、日本のファッションはコンテンツの表層であり、サービスの血液に大化けしそうなのは、まさにそのコーディネイト力そのものなのです。
ファッションという意味では、まさにお手本となる「Sartorialist」があります。SartorialistがSartorialistである理由は、まさに書き手の目利きにありますが、何を目利きしているのかというと、対象となる人たちのコーディネイト力です。
そして、このコーディネイト力、これこそがネットの特性であるログ化可能な領域なのです。ここに切り込まない限り、いわゆる雑誌のエース編集者には勝てません。
そして、エース編集者に勝てるレベルのユーザーが現れたときに、そのログは他のユーザーに何らかのヒントや指標を提供してくれるはずです。
そのネットならではのログ化。
そこに注目するとWISHの「M-1における笑い飯」枠である閑歳さんが設計したZaimには、そこの部分ではさすがに全く隙がありません。
単にログ化するだけではなく、ちゃんとユーザーにいいフィードバックが提供され、自分が普段Zaimでやっていることが、実は少しずつみんなのためにもなっていて、それが体感できるような設計にちゃんとなっています。
さらに、サービス提供からここまで得られたデータを解析した結果にもリアリティがありました。
そして、この個人属性から切り離されたお金に関するデータは、普段はなかなか目にすることができない領域です。私もお金にすることはめんどくさいことが多いですし、生々しいため、人に聞くことも余りありません。
そのある意味話ことがネガティブになるような内容であるからこそ、このWebサービスによるログ化は、よりその価値が高まってくるわけです。
Zaimは、既に、19カ国にサービスを提供しており、ここで蓄積されたデータの使い道なんて、それこそ無限大です。
Webサービスはツールじゃなくて、サービスです。人の行動をひと押しして、人を変え、世界を変える、これがサービスです。
その意味で、この日Zaimを上回るサービスはありませんでした。
また、私が会場でコメントをした会場から投票で決まるAMN賞にも輝いたのがGifteeです。
そりゃあそうです。恐らくなんどもリハーサルを繰り返したを思われる!練に寝られたプレゼンはお見事でした。
中でも、サービスデモの場面は、流れている映像は動画なのに、まるでその場で操作をしているかのようでした。
これは動画とそこで流れるタイミングを完全に把握していないとできないことです。この手法は今後のお手本になるでしょう。
さて!
WISHというイベントは、私の過去の2年のWISHエントリーがまさにそうである様に!
年に1回真剣にWebサービスが作っている人たちが集まって、みんなで真剣にWebサービスのことを考えようという場だと思っています。だから、毎年時間を作って審査員を引き受けているし、真剣に審査をしています。
その意味で言うと、申し訳ないが、サービスの内容以前の問題で「たべにこ」のプレゼンには、ひと言言っておかないといけないと思います。
実際、会場の反応もあまりなかったわけですが、ネタだけのプレゼンはWISHには似つかわしくありません。過去のプレゼンでネタ入りのプレゼンがなかったわけではありませんが、それはまずサービスの説明とお客さんに伝えたいことがしっかりあり、そのつかみとしてネタを用意しているというプレゼンの手法です。
WISHは、応募した人たちが全員プレゼンできるわけではありません。審査で落ちた人たちもいっぱいいます。その上で残ったサービスなんですから、サービスに中身がないわけがない。
それなのに、ネタに突っ走ったプレゼンをやったというのは、WISHの趣旨も、会場も審査員も、ネットの中継を見ていた人たちもすべてを裏切る行為です。
プレゼンターに罪はありません。社を代表してプレゼンを行った時点で、それは登壇者ではなく社の品位が問われることになります。マイネットジャパン社内でどういう話がされたかは知りませんが、今回のプレゼンはいただけなかったということで、社内で話をしていただけばと思います。
でだ!
このWISHにかかわった2人の社長、そのWebサービスへの想いとそれを続けていくことについてブログを書いています。
リンク: ものをつくる人が経営をするということ - jkondoの日記.
そうやって、一人ではとてもできないような「大きな事」をやるために必要な一連の事をやることが経営なんだな、と感じています。
リンク: WISH2011で考える、自分がウェブサービスを作れないからこそ、応援できることに感謝したいということ。 - tokuriki.com.
もちろんある意味、自己満足の世界でしかありませんが、まだブレイクする前のウェブサービスを見いだして、それを応援し、そのサービスが大きく飛躍していく過程を見ることができる。 これって、今の時代に生きる私たちだからこその、ある種の特権だと思うんです。
ある意味、真逆の2人のエントリーですが、今自分がやれることをしっかりやっていこうという意味では全く同じです。違いは立場の違いでしかありません。
そして、こんな風にWISHというイベントを通じて、普段忘れがちなことを考える機会があるというのは、やっぱりいいことでしかありません。
徳力さんがどう考えているかは知りませんが、来年以降もぜひ続けて欲しいと思います。
だって!イベント実施3年の、その先を見てみたいじゃないですか!
ということで、そろそろこのエントリーを終わりますが最後に!
めでたく大賞を受賞したZaim。その商品である貸切祝勝会の会場にも行ってきました。
プレゼンの時には、ほぼ頭真っ白だったという衝撃の事実が語られていますが、とにかくおめでとうございました!
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投稿:by いしたにまさき 2011 09 13 10:30 AM [Webサービス] | 固定リンク
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