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2011.12.28

Google「Chrome」新CMが「初音ミク」である理由を作った中の人に聞いてきた




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2011年という年は、ひたひたと進行してきたYouTubeによるテレビをハックするという動きがいよいよひとつの形となってきた年であったと考えていいと思います。

とはいえ、その年の瀬になって「家政婦のミタ」の視聴率40%ってのが、同時にやってくるあたりが、2011年ってのはホントに面白い年だったんだなとじみじみしますね。

そして、まだ公開されたばかりにもかかわらずに、YouTubeを中心として、大きな注目を集めているのが(公開5日で100万回再生)、グーグルが作り出したブラウザー・ChromeのCMです。

そこで歌を歌うのは、2007年の登場から早4年、少なくともネットの世界では、世界の歌姫となった初音ミクです。

このCMを最初に見て、毎回見るたびに涙が流れそうになります。私は、このCMのなにに心を動かされたのでしょう。

それは、この動画が、私が今年出版した「みんなの写真」という本で、自分のパートを丸々使ってどうにか使えたいと思っていたことを、たった1分のCMに存分に語られているからだと気づいたのは、かれこれ20回以上は見た頃でした。

そう、この初音ミクによるChromeのCMを見て、私がたどりついた結論は、このCMは「みんなの動画」なんだ!、というものでした。

これはブログに書かなくては!と思ったものの、まずはみんなにシェアをしようと思い、ツイッター・facebook・Google+にこの動画について書き込み、特にグーグルプラスには「このCMを作った人たちにインタビューしたい。そしてお礼を言いたい」と書いたのです。

そして、グーグルプラスに書きこんで、ホントすぐに(たぶん10分も経ってなかったと思う)思わぬメールが私のグーグルアカウントに入りました。

「あのCMわれわれが担当しました。取材、いつでもどうぞー」

え!やるやる!

ということで、このインタビューはたぶん2クリックぐらいで、実現されました。ということで、続きをどうぞ。

この初音ミクによるChromeのCMを作られたのは、株式会社博報堂のインタラクティブクリエイティブ ディレクターの本山敬一さんです。

あの「Cam with me」を作られた方と言えば、その筋のみなさんには「おお!」という人も多いのではないかと思います。

IMG_2055_DxO01

私が時間を間違えたり、そもそも年の瀬ということで、かなりお忙しい中、このCMを作るまで、どう作っていったか、そして公開後のことなど、ホントにいろいろなことをお話してくれました。ありがとうございました。

ということで、その本山さんとお話したいろいろな話の中から、私になりに整理したものをお届けします。

あんまり味わえない濃密な時間のインタビューだったので、私もじっくり味わいながら書いてますので、みなさんもじっくりどうぞ。

【初音ミクをキャラクターとして使うのはやめようと思った】

ChromeのCMと一口にいっても、あのグーグルのそれもブラウザーのCMです。いわゆる商品説明のCMじゃありません。

とはいえ、ブランディングというのとも、ちょっと違います。また、このChromeのCMは今回はじめて行われているものではなく、過去にもいろいろなCMが作られています。

そして、その過去のCMを見ることができるページには、こんなことが書かれています。

 リンク: The web is what you make of it - YouTube.

More and more, the web is simply just part of your life and helps you get things done. See how people are using the web to do amazing things. The web is what you make of it.

ざっくり意訳しつつコメントを追加すると、このChromeのCMのシリーズというのは、Webで起きた素晴らしいリアルストーリーを紹介していくシリーズなわけです。

レディ・ガガやジャスティンは有名人の話ですが、他にも親子の話だったり、社会活動の話などもCMで使われています。

そして、初音ミクによるCMは日本限定のCMではなく、Chromeのグローバルな展開に位置づけられるものであり、じゃあそこには日本のWebの代表を出すしかないとなったときに、初音ミクが登場するのは、極めて自然な流れだったそうです。

そして、初音ミクでCMを作るということが決まったとき、本山さんが最初に考えたアイデアの中で、すでにこのChromeの初音ミクCMの最後に出てくる「Everyone, Creator」という言葉は決まっていたそうです。

そう、なぜ日本のWebの代表が初音ミクなのかというと、それは初音ミクがだれかが考えた1キャラクターではなくて、日本のWeb全体でみんなが生み出し、作り上げたものだからです。

本山さんが、初音ミクについていろいろと調べていく中で、2つの言葉を発見したそうです。

ひとつめは、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社が経産省から表彰された際の表彰状に書かれた言葉。

 リンク: 【ご報告】「平成23年度情報化促進貢献企業等表彰」における経済産業大臣表彰(情報化促進部門)を受賞いたしました! - ピアプロブログ.

表彰状
情報化促進部門
クリプトン・フューチャー・メディア株式会社 殿

貴社は人の歌声を表現できるソフトウェア「初音ミク」の成功によりインターネットに分散する個人の様々な才能を発揮する機会の拡大に寄与するなど我が国の情報化の促進に貢献しその功績は誠に顕著なものがあります
ここにその功績をたたえ表彰します

平成二十三年十月三日
経済産業大臣 枝野幸男

この表彰状の言葉、私が今読んでも、なかなかによくできたこの手の表彰状にあるありがちな言葉じゃありません。たしかに、すごくいい。

そして、もうひとつは、ロサンゼルスの初音ミクライブについて寄せられた多くのコメントの中にあった言葉。

あのステージには3万曲をつくったミュージシャンをはじめ、無数のクリエイターの魂がこもっている

初音ミク以降、同様のアプローチがいろいろなところからされても、どうしても初音ミクのようにならない理由がここにあります。

初音ミクにだけ、日本のWebの力によって、魂が入っているんですよね。

【クリプトン・フューチャー・メディアといっしょに作った】

このCMの制作にあたって、もちろんまずクリプトン・フューチャー・メディアに相談に行き、本山さんは、とてもシンプルなことを言われました。

「クリエイターをフィーチャーする内容ならオッケー」

つまり、初音ミクをタレントやキャラクターとして使ってくれるなということです。そのことは、「Everyone, Creator」という言葉を最後に持ってくるということを決めた時点で、願ったり叶ったりのことですから、ここからクリプトン・フューチャー・メディアの全面的に協力による作業が始まっていきました。

このCMで使われている曲、「Tell Your World」も、このCMに使う曲ならkzさましかないということで、クリプトン・フューチャー・メディアと相談しながらで決めたとのことです。

【出演している人たちは、全員初音ミクにコミットしている人たち】

このCMには、総勢100人程度の人たちが出演しています。このみなさんに共通しているのは、みなさん初音ミクにかかわってきた人たちだということです。

 リンク: Google ChromeのテレビCMに「初音ミク」がとりあげられました! - ピアプロブログ.

みなさまのお力で、このCMは実現することができました。

約4ヶ月という制作期間のことを考えると驚異的なことですが、このみなさんはもちろん全員、このCMに自分が出演することを許諾されています。

初音ミク界隈において、有名な人も無名な人も混ぜるということも最初からコンセプトとしてあり、これも、クリプトン・フューチャー・メディアの協力があって、はじめて実現できたことです。

【世界中から声が集まってきている】

公開後、日本では各所から記事がアップされました。

と同時に、主にクリプトン・フューチャー・メディアのツイートから海外にも広まっていき、海外の初音ミクファンからの反応が数多く寄せられたそうです。

「これこそ、ボーカロイドの本質」・「これがWebなんだ!」というコメントがついたとき、本山さんは、自分たちが作ってきた方向が間違っていなかったと確信したそうです。

他にも、「これChromeじゃなくて、初音ミクそのものCMじゃない?」というコメントもあったそうです。

これについては、ウェブはあなたがつくるものであり、ミクはみんなが作ったんだから、そう受け取る人がいるのも理解できるということでした。

そう!だって、このCMはそういうCMですからね。

これらのお話を聞いたあと、私はもう1度、実際は50回ぐらい、Chromeの初音ミクCMを見直しました。

そして、やぼなことだと思いつつも、秒数別に分割して考えてみました。

まずは、シーンで分割してみました。

▼シーン分割
 00〜23秒:初音ミク誕生から黎明期
 24〜40秒:ミクが一気に拡大
 40〜45秒:LAでのライブシーン
 44〜60秒:初音ミクを世界の歌姫に押し上げたのは、みんなの3万曲とWebの力

次に曲の歌詞で分割してみました。

▼歌詞分割
 00〜23秒:イントロから「♪解き放つのー」まで
 24〜40秒:「♪君に伝えたいことがー」
 40〜45秒:「♪あーあー」とライブの歓声
 44〜60秒:「♪あーあー」とライブの歓声から拍手

見事にシーンと歌詞が一致しています。

そして、同時に、実はこのCMは大きくは2部構成になっていることがわかります。

前半は40秒まで、後半は40秒からはじまるライブシーン以降です。

そして、この前半と後半のテーマは、そのまま制作の中で、本山さんが見つけた言葉に呼応しています。

前半:「インターネットに分散する個人の様々な才能を発揮する機会の拡大に寄与」

後半:「あのステージには3万曲をつくったミュージシャンをはじめ、無数のクリエイターの魂がこもっている」

これに気づいたとき、やっと私はこのCMが私の心を打った理由がわかった気がしました。

そう、Webはそれにかかわる私たち次第なんです。わたしたちがどうWebに向きあうかで、Webはそれぞれの物語をわたしたちに提供してくれます。

その美しい物語のひとつが、この1分の中に込められていることが、Webにかかわったことがある人なら、がつん!と伝わってくる。

このがつん!が感激と歓喜を呼び起こすんです。

さて!

余談ですが、このエントリー、実は書くのに、ちょっと時間がかかりました。なんていうんでしょうか?

ごちそうすぎて食べたくない!

そういう気持ちってわかりますか!?なので、書き手としては、このエントリーは今年のベストエントリーです。

私の最高の時間のひとつは、やっぱりWebからやってきました。今年もWebにありがとう。

VOCALOID2 キャラクターボーカルシリーズ01 初音ミク HATSUNE MIKU
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【追記】

このCMで使われている曲「Tell Your World」、CDとDVD発売されました!

Tell Your World EP【初回限定盤CD+DVD】
Tell Your World EP【初回限定盤CD+DVD】

そしてiTunesでも「Tell Your World」の配信始まりました!

Tell Your World (feat. Hatsune Miku) - Single - livetune feat. 初音ミク
Tell Your World (feat. Hatsune Miku) - Single - livetune feat. 初音ミク

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投稿:by 2011 12 28 10:30 AM [みんなの写真] | 固定リンク

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» MIKU という「場(ウェブ)」 from Baldanders.info
めったにテレビを見ない私だが,この CM は1度だけ見たことがあった。 続きを読む

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