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2012.11.01

10年目にしてやっとやってきた2代目ライフスライス端末「Memoto」、これでまたライフログに物語が生まれるはずです




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唐突ですが、たぶん日本でいちばんライフスライスとはどういうことかを考えた人間が私です。

そのしつこさも、たぶん日本一で、実質ライフスライスというプロジェクトがピークであった2002年から8年経った2010年に発売した自著の、まさに最終章を、このライフスライスから始めているのです。

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ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
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ライフスライスは、すでにそのドメインが失効していることもあり、ネットではあまり見ることができませんが、その断片はいくつか残っています。

 リンク: ライフスライス:カメラを手に入れる: 僻地.

「ライフスライス」というコンセプトがある(あった)。インターバル撮影が出来るトイデジカメを首に下げて、一定時間ごとのスナップショットを一日中撮影し、生活のログを残すという。

なかには、すでにライフスライスで使っていたライフスライスカメラがすでに手に入らないものになっていることを知って、他のデジカメを使ったりするなど、他の方法を試している人もいました。

 リンク: ライフスライス - 俺の基地.

ライフスライス/カメラ選定で選んだカメラをライフスライスに使えるようにカスタマイズします

ということで、自動で撮影されるインターバル撮影で、自分の日々の行動を記録し、ログとして保存していくについての知見が私にはありますし、そのおかげで、その後ネットサービスを評価できることになったのだと思ってます。

ライフスライスカメラは、2000ぐらいの技術で作られていましたから、そこに限界はありました。ただ、10年と今とで、記録された写真と、そこに付帯したいメタデータというものに、大きな変化はありません。GPSによる位置情報だって、当時すでにもう取得して実験していましたから。

そして、10年前の当時、次のライフスライスカメラをもしつくることができるのであれば、こんな仕様になるだろうねということを、メンバーでよく話していたものでした。

そこから、10年の時が流れ、ケータイからスマホになり、アプリになり、ライフスライス的なものは、正直珍しいものではなくなりつつあります。ライフログという言葉を、ここで使ってもいいでしょう。

だから、というか、そんな風に状況が変わっても、ライフスライスという自分の体をシャッターにするコンセプトは、いまだに古びれず、今でも私がログというものを考えるときの起点になっています。

でもね、まさか10年前に夢想していたものと、ほぼ同じ仕様のデジカメが、実際に登場するとなると、これはやっぱりドキドキするものがあります。

同じような用途を目的として開発された「Autographer」と比較すると、その装着の様子を見るだけで、もう全盛期の朝潮の電車道ばりにMemotoの圧勝です。

Memoto Lifelogging Camera

とにかく、このカメラポジションが最高です。すばらしい。このMemotoを設計した人たちは、インターバルタイマーによる自動撮影とそれを撮る人間の関係を、ホントによくわかっています。それが、わかっていないと、この場所にこういう形で設置しようとは思わないはず。

さて、その10年ぶりの2代目ライフスライスカメラである「Memoto」の仕様ですが、いやあ、ホントよくわかってます。

 リンク: 幸せ、喜び、悲しみ、その瞬間を忘れない。あなたの人生を記録するカメラ『Memoto』 | WEBROCK japan (ウェブロック).

「Memoto」は、30秒間隔で自動でシャッターをきってくれる小型のカメラ。 36mm×36mm×9mmの非常にコンパクトなデバイスの中に、 GPSアンテナ、500万画素の小型カメラ、モジュール、メモリーなどが搭載されている。

今となっては、それほど画質がいいとは言えない500万画素、そしてジオデータを取得するためのGPS。そして、もちろん、このサイズ。

データやバッテリーについては、以下。

 リンク: ライフロギング・カメラ「Memoto」がKickstarterで支援募集中 - [モ]Modern Syntax.

気になる機能のあれこれですが、まず30秒に1枚撮影するとしてバッテリーは2日分は使えるようです。USB経由で充電するわけですがその時に撮影した写真 がPC側にバックアップされサーバーにアップロードされる仕組みとなっているようです。撮影した写真は自動でグループに分けられるようです。

1日1回、PC経由でサーバにアップするという仕組みも、当時ライフスライスで実施していたやり方そのものです。

で、1日をログとして体感するには、これでいいんですよ。下手に途中で、クラウドにアップとかしない方がいいんです。ここも、実によくわかってます。にくいねー。

さて、デバイスの話はここまで。

もっと大事なことは、このライフスライスデバイスで、何が撮影されるだろうかということです。

Memotoでは、こんな風に撮影される写真のことを考えています。

 リンク: これが「進化」の必然か!? 30秒毎に目の前のシーンを撮影し続けるウェアラブルカメラのMemoto登場.

Källströmの主な狙いは「意外な瞬間」の記録にある。たとえば子供が初めて立ち上がった瞬間などを記録に残したいと考えたわけだ。そうした「事件」は思いがけないときに起こることが多く、なかなか写真に残したり、ビデオを撮っておいたりということもできないものだ。また、思い返してみれば非常に大切な記憶であっても、経験しているまさにその時には大切さに気づかないということもある。Memotoは、そうした「事件」や「通りすぎてしまう事象」を記録に残そうと試みるプロダクトなのだ。

この記述、ほぼライフスライスで撮影されていた写真と一致します。

 リンク: ライフスライスカメラについて.

ほとんどの画像は普通の写真として使えないが、思わずはっとする画像に出会ったりする。ねらって撮したのではと思わせるほど、構図が決まっていたりする。ただ意識と無意識の間で撮影しているためか、シャッターを押して撮した写真とは雰囲気がかなり異なる。

そして、ここで語られていないことが、ひとつあります。

それは、これらの写真群を見る人のことです。

  • ライフスライスを身に着け、撮影された光景を見ていたはずの人
  • その写真の主である人の生活をよく知っている人
  • その写真の主である人の生活を少し知っている人
  • その写真の主である人の生活をまったく知らない人

ログというのは、それ単体で存在していても、ほぼ意味がないもので、ログと人が結びつくことによって、そこに物語が生まれます。

そして、実はいちばん物語が生まれるのは、写真とその写真の主である人の生活を少し知っている人との間なんです。

つまり、ライフログの価値というのは、自分とログとの間にあるのではなくて、誰かとログの間にあるんです。

正直、わかりやすい話をしているとは思いませんが、このログとしての写真の話を、ある人にお話したところ、そこからある話ができました。

ぜひ、これを読んでもらって、写真とログということを想像してみてください。

 リンク: あらかじめこぼれ落ちているものたちのために - 傘をひらいて、空を.

僕はねと彼は言う。人は油断すると自分でも知らない感情や感覚や、そのほかの名づけえないなにかを、撮るものや描くものや書くものにこぼしてしまうんだと、そう考えたい。誰もがきっとそうしてしまうと思いたい。上手くなくても、訓練されていなくても、誰ひとりその価値を認めなくても。それがとても気持ちがいいのは、きっとそれが自分からあらかじめこぼれおちているものを拾ってくれるからです。

ほら、もう「Memoto」注文するしかないでしょ。

なお、すでにファーストロットは完売しており(私は注文済ですが)、今はセカンドロットから、注文可能になっています。

ライフスライスから10年経った今だからこそ、記録することとそこに生まれる物語のことを考える人は増えているだろうし、それを可能にするデバイスも登場したのだと、私は思っています。

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投稿:by 2012 11 01 10:30 AM [ライフスライス] | 固定リンク

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